悪い子おしおきっ
束縛度の強い彼氏は好きですか?
答え:場合によりけりです。
って一人Q&Aとかやってる場合でもなく、なんとかしないといけない気がする。
「潤さん…明日はっ」
「俺と出掛けてくれるんだろ?」
「仕事です。だから、」
「送り迎えしてほしいって?いいよ」
いや、誰もそんなことは言ってません、伝えてません、思ってません。だからっ
壁際に追い詰めないで下さい!なんのために?しかもココベットの上だし?とりあえず、今握ってる毛布は手繰り寄せておこう。
「なに、奈々子覚えてないわけ?」
「へ?」
なにが、なにを、なんのこと?
「ほら、一週間前」
「あー……」
確か収録後、どこかの誰かに誘われて飲み行ったような。んで、気付いたらなぜか今この状況みたいなことになってたような。
「思い出したかなぁ?」
「私の記憶が途中ないのはなんで?」
「あの人と二人で、どんだけ飲んだのかこっちが聞きたい」
顔面蒼白。まずい。いまさらだけど潤くん、凄い怒ってる気がしてきた。恐る恐る視線を合わせれば素敵笑顔。今すぐ視線を逸らして、見なかったことにしたい気分になる。
「しかもあの人と二人っきりねぇ」
次のセリフは予想できます。これが万馬券なら私お金持ちぃ!
「罰ゲームだと思えよ」
はい、きたぁー!思えません、思えない、無理だから!どう考えたってお仕置きタイムまたは調きょ…自主規制。
「もしくは調教タイムな」
自主規制速攻で意味なっ!
「二人っきりになっていいのは俺とだけだからな」
語尾に「わかったかな、お嬢ちゃん」と聞こえたのは、あれ?幻聴かな?
「わかった?」
「わかった!わかったから!だから!」
「だから?」
「近い…」
だってあと1センチもない距離ってどうよ?!もちろん、唇の距離が!にぃーーーっっこり、笑いかけられた。嫌なぐらい綺麗に。
「わざとに決まってるだろ?」
そーでした。この確信犯!計画犯!
もぞもぞ動き出してなにかと思えば、いつのまにか毛布は二人羽織り仕様。わぁ、魔法みたい!ダメだ、帰ってこい自分!黒魔法遣いに負けちゃダメだ!
「奈々子。よそ見してていいの?」
え?と繰り出した言葉は見事吸い込まれていった。
「だからよそ見してていいのか聞いたのに」
逃げようにも、毛布が邪魔です!
「奈々子?俺と二人だけになっとけ」
耳元で囁かれ、こんな独占欲ならありか、と流された。
fin
- 174 -