手ヲ繋イデ


貴方と帰る道程は





寒い
寒いサムイ
「さむいーっ!」

確かに寒いねぇって、そうでしょ

でも
「鳥くんを見てるだけでも寒い」

そんなことないしぃー、って言われても
おまけにそれは何キャラ?
女子高生?

「薄着すぎやしませんか?」

寒がりって言われましても
ありえない
へっ?
気温?
あ、そんなにあるんだ
「それは寒くないね」

いや、でも寒いし
やっぱ私が薄着?

そっか……
「あ、コンビニ行こうか?」
帰ったほうが早いか

でも
「今さーむーいー」

お?
何ボタン外して上着脱いでるの?
露出狂?

あ、
「ありがとう」

でも
「煙草臭い…」
オマケにデカいし

おぅっ?!
あぁー!
いや、そんな強制的に脱がさせないでっ
「嘘です、嘘!鳥くんの匂いがする?」

はぁー
いや、なんで疑問系かと言われましても
なんでだろう?

「でもあったかい」

寒い?
うん、さっきの私状態だもんね
あーなんか眠くなってきた

寝るなって言われても
「鳥くんの匂い落ち着くんだもん」

ん?
あれー?
珍しく照れてます?
照れてるとこなんて初めて見たかも

や、見るなと言われても見るしかないし

早く帰るよって、立ち止まったのは鳥くんなのに
「わかってるよぅ」

それにしても
「鳥くん。寒いって言ってるわりに寒そうに見えないね」

寒くないし?
「寒いんじゃないの?」
嘘とな?

ふーん…

「じゃあゆっくり帰ろ」
早足は疲れるんです

そうそう

あ、
「やっぱりコンビニ寄ろう」
だって喉渇いたし

めんどくさいって…
「すぐそこに看板見えてるじゃん!」
駄々こねないでいーくーのー

なんでそこまで嫌がるかな
分かったよぅ
早く帰ればいいんですね
「やっぱり寒いの?」

そんなことないか
なんなの?

は?
鳥くんの匂い?
どうって言われても
「さっきも言ったじゃん」
もう一回?
照れてたくせに

「落ち着く。安心する?」
あ、満足そうな顔

まったく何がしたいのか

「オトコゴコロ?」
はあ…

「そしてその本音は?」

鳥くんのその仕草は嘘ついてる時の仕草だよ
「嘘つきぃー」
だってそういう時いっつも煙草吸ってないのに、手で口押さえるじゃん

「はい、その本音は?」



「男は惚れたらその相手の一挙一動に振り回されるの」
「じゃあコンビニ行こ」
「そしたら抱きしめられないから却下」
「だから早く帰りたがってるの?」
「そうだよ」

「だからさ」

「奈々子姫、早く城に戻りましょう」



桃色ピンクの帰り道


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