ごろごろ


散らかった部屋の中、唯一すっきりと片付いているベッドの上で丸まる。握った手でヘロヘロと拓篤の背中に向けて、パンチ。フィギュアに向かっていた目が振り返った。

「猫パンチ?」

猫パンチ?パンチはしたけど、猫?分からず拓篤の顔を見上げる。

「丸まって、猫みたいになってるけど?」
「んー?んー」

1回目と2回目と違うトーンで使い分けて、自分は壁側に寄る。こういう時、自分の標準より小さめな体は便利だとは思う。頑張って半分空けたスペースをパタパタと叩く。
「なに?」

問いかけられたけど、いっ…言えない。必死にパタパタと叩き続ける。

「だからなんだよ?」
「だ、からっ」
「だから?」
「だ……だから、」
「シていいって?」

ギョッ、っと目を見開く。そして慌てて、

「違う!違う違う違う!そうじゃないの!そうじゃなくて、違くて!」
「そこまで拒否られると、彼氏としては傷つくんだけど?」
「っ!?あ、え、あの、違くて、」
「………くっ、は、ふっ…あはははは!」

笑われたー!?

「拓?拓篤?」
「わるい…奈々子…かわい」

可愛いなんて言われて恥ずかしくなったのと、笑われすぎて恥ずかしくなったのと、二重の恥ずかしさで、頭の上にあった枕を手繰り寄せて抱きしめる。

「横に寝て欲しかったんだろ?」

さらには言い当てられた恥ずかしさまでもが緊急飛び入り参加までしてきてくださった!ギュウギュウに枕を抱きしめる。

「奈々子、こら」
「ちょっ、拓篤、やっ!」

上に乗りかかってきた拓篤に枕を取り上げられる。味方枕を返せ!

「奈々子、枕より!枕より、俺ね」

あまり重くないように配慮してくれながら、上から抱きしめられた。かっ………勝てない。



fin


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