*ホワイト*



ふわふわした気持ちで、飛び込んできたひかりにゆっくりと瞼を開ける。朝、と小さく呟いて、そっと体を起こす。隣で眠る相手は、むー、とへんな唸り声を上げつつも起きる気配はない。
おはよう、と少しだけ声をだして、いまだに夢の中の人の頬にキス。少し冷んやりと感じるフローリングに足を下ろせば、少し目が冴えた気がした。

冷蔵庫の中身のチェックは、昨日の夜に抜かりなく。朝ごはんはサラダにトースト、ヨーグルト。きっと智昭には物足りない。シリアルとポタージュスープも足して。ゆで卵を軽く潰して塩コショウにマヨネーズ。レタスとトマト、キュウリにハム。サラダの完成。
時計を見れば、そろそろ。ベッドに戻って、少し肩を揺らす。

「智昭。そろそろ起きないとだよ〜?」
「ん〜、はい。起き、ます」

のそりと動き出す姿を確認して、朝ごはんの続き。トースト2枚をトースターにセット。焼きあがる頃には、

「おはよう、奈々子」

起きてくるから。

「今日も美味しそうなご飯をありがとうございます」
「智昭のためならへっちゃらです。どういたしまして」

お互いいたずらっ子のように笑い合って。そうしてから、熱々のトーストにバターをたっぷり。お皿も差し出しながら手渡せば、すぐに口の中。

「奈々子の今日の予定は?」
「いつも通りだよ?」
「なら帰り待ち合わせようよ。こないだ話してたあの店、行ってみない?」
「あ、いいね!うん、行きたい!」
「じゃあ決まり。そしたら待ち合わせいつもの乗り換えんとこで」
「わかった」

話してる間に、どんどんご飯は減っていく。話の終わりがご飯の終わり。

「じゃあ奈々子、行ってくる」

いつもの笑顔に笑顔を返す。頭を少し撫でてもらって、代わりに少し力を込めて抱きついて。

「いってらっしゃい!」

またあとで。





*fin*




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