構って構う
*小野大輔*
むっ、と眉を寄せれば、困ったような笑顔で頭を撫でられる。
「そんな可愛く拗ねないでよ」
「誰のせいかな?」
「誰のせいなの?」
あぁもう!と、立ち上がる。
「大輔のせいでしょ?!」
「そうなの?」
「白々しい!」
胡座をかいているその上に、乗るようにして座り直す。もちろん正面切って。
「奈々子ちゃん、嬉しい体勢なんだけど、ちょっと、痛いよ?」
「わざとだから」
「やっぱり?」
噛み付くようにキスをする。本当に噛んでやろうかな、とも考えながら。
「もっと構って甘やかしてよ」
*保村真*
本人がいても知らんぷり。ゲームを点けてみたり、録音したラジオ流してみたり、懐かしのDVDを観てみたり。
「そろそろ止めない?」
なんてお願いも、聞こえないフリをしてみたり。
「もしもーし?」
知らない知らない、知りませーん。そんな気分で、寝転んで雑誌を見ていたら、横に寝転んできた相手に抱きこまれた。
「あんまり苛められるとへこむから、奈々子ちゃん、そろそろ止めていただけませんかね?」
「真が悪い」
「俺が?」
「先に構ってって言ったの私なのに」
不貞腐れたら抱きしめられる力が強くなった。
*小西克之*
「あの…」
肘杖ついて、こっちに背中を向ける珍しい姿。なんだか機嫌が悪そう?どうしよう。どうしよう、と言っても、構ってもらいたいわけなんだけど。
「あ、あの」
尻すぼみになっていく声は届いていないのか。どうしようかな…。ご機嫌悪いのに、構って、なんてワガママ言いたくないし。もう一回だけ、声、掛けてみようかな?
「克幸さん」
「うぉわ!俺今一瞬で寝てたよ」
さっきまで返事、短くてぶっきらぼうだったのは眠かったの?!びっくりしすぎて、ちょっと涙。
「ん?奈々子?どうした?」
「起きたなら構ってくださいー!」
泣きつけば、いい子いい子とほっぺにキスされた。
*吉野裕行*
「なぁ」
「なに?」
不機嫌そうな顔を見て、なにかやらかしてしまったかと考えてみるも、思い浮かばない。
「なぁ」
久しぶりに会えたもんだから甘えたいけど、目の前の気紛れさんは分からない。
「俺さぁ」
第一、裕行の甘やかす基準がわからない。だから気紛れさんなのだけど。ジッと見詰め合ってしまう。超能力なんて持ってないから、裕行がなにを言おうとしているかなんて、さっぱりわからない。
「今すっげぇ、」
くんっ、と腕を引っ張られ、裕行の上に圧し掛かるようにして、一緒にベッドにダイブ。
「奈々子を甘やかしたい気分なんだけど」
たまらなくて、キスをした。
*鳥海浩輔*
腕の中から逃れようとしてみるも、どうにも上手くいかない。その間にも、うなじやら首やら肩に雨のようにキスが降る。
「浩輔さんっ!」
呼んでみても、動きは止まらず、返事もない。自分の体の前に回されて、繋がれた手は変わらない。
「浩輔さんってば!」
「なに?」
首筋に顔を埋めて喋るのは止めていただきたいところだけど、ようやく返事のあった手前、気にしてはいられない。
「離してください!」
「なんで?」
「なんでって、それは、そのですね、」
なんと言ったらいいのかわからない。集約してしまえば、恥ずかしいの一言。でも、そう正直に伝えるのも恥ずかしい。
「はい、奈々子ちゃん残念、時間切れー」
「えぇ?!」
「大人しくもう暫く構われといてよ」
だからって、始まって2時間経ってます、構いすぎ!
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