正月



*吉野裕行*

「奈々子、明けましておめでとうございます」
「ちょ、裕行フライング!」
「丁度だったっつの」
「うーそ!」
「おら、丁度じゃねーか」

差し出された裕行の手首を覗き込む。腕時計は確かに。

「そこの時計見てみろって」

言われて顔を上げた瞬間に、裕行がアップで映り込む。

「今年初キスじゃね?」

悪戯成功とでもいう表情を魅せられて、今年一年、また勢力図は変わってくれないと知ってしまった。



*宮田幸季*

時間丁度を狙って、狙って。あ、と発した瞬間、焦った相手に口を塞がれた。

「いっせーの、」

掛け声で手を外されて、

「「明けましておめでとう」」

声がハモる。

「もー。びっくりしたよ、幸季」
「ごめんね。奈々子ちゃんと一緒に言いたくてさ」
「いいよ。あのねあのね」

嬉々として幸季の服を引っ張れば、少し身を屈めてくれる。

「今年一年もよろしくお願いします」
「こちらこそ」

にっこりと、ほっぺにキスのサービスも付いてきた。



*保村 真*

「あ」
「お」

二人で時計を見て、笑いあって。向き合って。

「明けましておめでとうございます、真さん」
「明けましておめでとうございます、奈々子ちゃん」
「明けちゃいましたねー」
「そうね。今年もよろしく」
「こちらこそです!」

頭を撫でられて、気持ち良くて、目を細める。

「猫みたい」
「可愛がってね」

おデコにチュッとキスがきた。



*鈴木達央*

「あけおめ」

言われて、時計を見る。

「まさか達央に先に言われるなんて」
「奈々子がボーッとしてっから」
「…明けましておめでと」

先に言ったぞ、俺凄くね?みたいな態度にむくれつつ、返せば、二人しかいないのに耳に口寄せられた。

「今更だけど姫始めじみたことするか?」
「しっ、しない!しないよ!」
「本当に?」

抱き込まれて、首筋に顔を埋められて吐息がかかって。流されるまであと少し。



*谷山紀章*

時計を確認して、にっこりと笑いかける。

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね」
「え?あれ」
「ふふ。紀章さん今一瞬寝てましたね」
「あーごめん」
「いいですよ。お疲れ様です」

ぎゅーっと抱きしめられる。

「奈々子は癒しだな」
「癒せていれば幸いです」

ほっぺに、おでこに、鼻筋に、唇に、お互い交互にキスしていって。

「「今年もお願いします」」







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