Enchainez



「うーわー。小野くんべったりじゃん」
「可愛いでしょう、岸尾くん」

岸尾さん…なんだか、ちょっと、可愛い?

「ハンサム、誇らしげじゃない?」
「鳥くんにはあげないから」

そう言った大輔に抱きしめられた。これ安心。だから一瞬気を抜いて、耳元で声が聞こえて驚いた。

「持ってきたの、それなに?」
「ケッケーキ」
「食っていい?つか、食いたいんだけど」

どうしようどうしよう。大輔を見上げれば、奈々子があげてもいいならと、無責任にも再び手に戻ってきたケーキ箱。恐る恐る手を伸ばして箱を差し出す。

「奈々子ちゃん、サーンキュウ」

笑顔。すっごい笑顔だ。思わず見入っていたら大輔に体を離された。慌てて腕にしがみつく。

「なんか小野D好きすぎねぇ?」
「なに、たっつん。ジェラシー?」

しゃがんで目線を合わせてきたから、俯いて視線を逸らす。すかさず大輔が近い近い、と離してくれた。

「改めて紹介な。鳥くん。鳥海さん」
「はじめまして、奈々子ちゃん。浩輔さんって呼んで」

呼ばせないからなー、と大輔がやんわりと鳥海さんを追い払った。

「そんで、次が岸尾くん。もしくは岸尾さんね」
「奈々子ちゃん、お初目お目にかかりますぅ」

今度は大輔は離そうとしてこない。半強制的に岸尾さんと握手。

「次、よっちん!吉野さん」
「別によっちんでいいから。奈々子ちゃん、これいただきます」

いつの間に切り分けたのか、吉野さんが一人先にケーキを食べ始めた。なんだか美味しそうに食べてくれてる。

「最後たっつん。鈴木くん」
「どーも。奈々子ちゃん、よろしく」

紹介が終わって、また全員が色々と話し始めた。まるで、こっちのことを忘れてくれたみたいで油断した。油断して手を緩めた瞬間、大輔に逃げられた。
名前しか知らないような男の人たち。逃げられない室内。なんか、なんだか、涙出てきた。怖い。

「奈々子?!」

大輔を追いかけてキッチンに行けば、慌てて抱き上げてくれた。抱き上げてくれたからにはしがみついていれば大丈夫。半ばパニックになりつつ、しっかり首に腕を回して肩に顔を埋める。そのまま大慌てな大輔に寝室に避難させてもらった。

「奈々子、どうした?」
「大にぃ…ごめん。ちょっとパニックしちゃっただけ」





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