『この身を焦がすような情熱の果てに…』


紀章の出ているCMを見た瞬間私は驚いた。(別の意味でも驚いたんだよね。紀章CMの次に小野くんのCDのCMが流れたから)
驚いたまま固まっていると、我に返りパソコンを起動させ、周りに音が漏れないようにヘッドホンをつけてその曲を聴く。
その曲は紀章らしいとゆうかなんとゆうか…。
聞き惚れていると背中に温もりと煙草の香りがした。紀章が帰ってきたんだ。


「ただいま奈々子」

「おかえりなさい」


急いでヘッドホンをはずし、笑顔で答える。


「何聴いてんの?」

「なっ内緒っ」


あっけなく奪われたヘッドホン。
耳を当てると流れてくる曲に顔が赤くなる。


「ふーん。コレ聴いてたんだ」

「べっ別に紀章目当てで聴いてたんじゃないよっ飯塚さんのギターがかっこいいなぁって…」

「へぇそんなこと言うんだ」

「なっ何がっ」


絶対なにかを考えてる顔でいる紀章。
実際今出来ることなら逃げたいぐらい。
今も怖いけど、逃げたらなにされるかわかんないから、逃げられないしっ。
1、2回紀章から逃げたことあって、アレを去れるかと思うと正直怖い。
今の紀章は絶対に敵に回したくないっ


「ふーん。シラを切る気なんだ?」

「シラを切るって言われたって…」

「よっぽど奈々子は俺に酷いことされたいんだ?」

「ヤッ嫌っ」

「じゃぁ正直に言えよ」

「うーきっ紀章が出てたから聴いてました」

「聞こえなーい」

「紀章が出てたから聴いてたのっ」

「やっと吐いたな?」


イイコイイコ去れるのは好きだなぁ。
気持ちいいし。
紀章に撫でられるの好きだし。
でもたまに危ないほうにいくんだよね。


「言ったから酷いコトしないよねっねっ」

「いつ俺が言ったら酷いコトしないっつった?」

「痛いのと辛いのと苦いのだけは嫌ー」

「はいはい。全部してやるから」

「嫌だぁぁぁぁぁ」










甘い痛みは幻想の果てに

(痛いのと辛いのと苦いのはいやだって言ったのに)(そんなこと知らないね)(こんなんじゃ明日仕事できないじゃん)(休めばいいだろ?)




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