動物的溺愛



*鈴木達央*

なんでこんなに可愛く見えるんだ?特に飛びぬけて可愛いってわけでもない、や、可愛いは可愛い。って、そうじゃなくてだ。美人、とは違うな。とりあえず可愛い、と思う。や、間違いなく可愛い?いや、でも、アイドルとか見てると、もっといろいろいるようには思うけど。だー!わかんねー。

「………達央くん?」
「なに?」
「あ、あのね、そろそろ、止めてほしい、かな?」
「は?」
「あのね、だだ、だからねっ、そろそろ髪、ぐしゃぐしゃになっちゃう」
「あ、わりぃ、奈々子」

無意識に撫でてるとか、わけわかんねー。あーそういや足の間に座らせてたっけか?こいつちっちぇーんだよ。オマケにふわふわしてるっつーか。強風とか吹いたら飛ぶんじゃねぇ?

「た、達央くん!?」
「悪い。あーつか、わかんねー」



*岸尾だいすけ*

かわいいかわいいかわいいかわいいかわいい!口にしたらきっと顔を真っ赤にして、恥ずかしいことを連呼しないでっ!って言われるから心の中で。いや、でも可愛いし。なんでこんなに可愛いんだろ。俺も可愛いって言われることはあるけど、絶対ぜーったい、この子のほうが可愛いんだよ!

「だいすけさん」
「ん?」
「あのですね、ちょっと、いえ、いささか苦しいんですけど?」
「あーごめんごめん」

抱きしめていた腕から少し力を抜く。そうすると、ゆっくりと深く呼吸してる様子で。俺どれだけ力込めてたんだよ?ん?あれ?耳赤い?顔赤い?ちょっと体温も高いような?

「顔赤いし熱いし、奈々子、大丈夫?」
「あ、これは近っ………ナンデモナイデス」
「近?近、いから?俺と、近い、から?」

にーっこりと笑みを深くする。あーもう本当かわいいかわいいかわいいかわいいかわいい!



*小野大輔*

可愛いって、こういう子のことだよなー。街中で見るどんな子より、テレビに出てるどんなアイドルより。可愛いって思うしなぁ。少し背が低いんだって本人は気にしてるけど、そんなことないよな。俺があのくらいだから………丁度じゃん?少し太ったって言ってたけど、そうか?変わりなく見えるし……むしろまだまだ細いぐらい?髪形はどんなでも似合うとして、それよりも服か。今度俺のでかめのTシャツでも着せてみっかなー。

「………大輔さん?」
「んー?」
「いやらしい顔で人のことジロジロ見ないでくれませんか?変態」
「へんっ?!」
「エイチ・イー・エヌ・ティー・エー・アイ、HENTAI」
「なにかの応援っぽくなってる?!」

このちょっとだけ口が悪いのだけはどうにかしないとなぁ。あぁ、そうだ。

「奈々子」
「なんですか?」
「あんまり生意気言ってたら、強制的に口塞ぐことにするからね?」

あ、静かになっちゃった。



*福山 潤*

可愛い?もちろん!美人?んー美人より、可愛い?美人であることは否定できない。猫っ可愛がりしたいぐらい。で、この間それを実行したら、逆毛立てて威嚇されて逃げられた。えー?恋人に対してそれ?とか思ったら、夜、テポテポと俺の寝てるソファーまで来て、なんで別で寝ちゃうのーって、泣かれちゃったんだよね。照れ隠しだったっていうのを朝になって知って、なんなんだ、この可愛い生き物!とか思って、また猫っ可愛がりしようとして、振り出しに戻ったわけだけど。

「な、なに?」
「ん?いや、なんでそんなに奈々子に警戒されてるのかなーっと」
「べ、別に嫌いだからとかいうわけじゃないんだからねっ!」

ほんっと、なにこの可愛いの。俺の理性の限界試してんの?

「潤さん?な、なに?」

あーもう、ゴメンね?そんな怯え方されたら、限界、いただきます!



*神谷浩史*

思ってるだけなら伝えきれないほどあるっつーの。だけど、素直に全部言えっか。なんで俺が、わざわざわかりきった事まで口にしなきゃなんねーんだっつーの。可愛いなんてのは最初から思ってる。付き合い始めて、殊更そう思うし、なんだ?美人にもなったとか思うし?猫っ毛なの気にもしてっけど、フワフワでフワフワなお前には似合ってんだろ。

「浩史さん?」
「なんだよ?」
「ここ、眉間に皺よっちゃってますよ?取れなくなっちゃいますよ?」

まだ少し冷えるのか、ひんやりとした指先が眉間をさすってくる。近づいた体をそのまま抱き寄せれば、胡坐をかいた俺の上に、上手い具合、座る形になった。仕方なくだ。気分だ。たまたまだ。

「奈々子、好きだ」
「なっ?!な、な!なに、あらまたってっ!」

噛んでるし。っとに、可愛い奴。





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