御伽話のような



*保村 真*

「奈々子が好きなんだけど」

今まさにお付き合い進行中の相手から告白を受けました。

「真さん?」
「ん?」
「いえ、あのですね。知ってます」
「あ、や、あーうん。そうだよね」

頭に疑問符を浮かべていれば、苦笑と共に頭を撫でられた。

「なんかね。言いたくなっちゃった」
「なっちゃいましたか」
「なっちゃいました」
「私も!私も真さん大好きです!」
「言いたくなっちゃった?」
「なっちゃいました」

自分たちはなんてバカップルなんて笑い合って。そっと触れるだけのキスをしてみた。まるで初々しい二人のようで。



*吉野裕行*

「なぁ」
「うん?」
「好き。大好き。すっげー好き。奈々子を愛してる」

普段言ってくれない言葉を告げられた。金魚みたいに口を開閉させてしまう。

「ちょー間抜け面になってっけど?」
「裕行さんのせいじゃん」
「なんで?」
「普段、絶対言ってくれないくせに」
「不意打ちだから意味があんだろ」

悪戯が成功したとでもいうような笑顔で言い返されて。悔しくなってキスで言い返してみた。まるで変化を求める二人のようで。



*谷山紀章*

「好きだよ」
「知ってる。私も好きだよ」
「そうなんだ?」
「知らなかった?」
「さあ、どうだろう」

二人してクスクスと忍び笑い。お互い、素直になれないわけじゃないのを知ってるから。

「私は紀章くん愛してるよ」
「知ってる。俺も愛してるよ」
「そうなの?」
「知らなかった?」
「さぁ、どうでしょう」

やっぱりお互いクスクスと笑うしかなくで。どちらからともなく、お互いの吐息をも逃さない深いキス。まるで恋の駆け引きを楽しむ二人のようで。



*森田成一*

「ねぇ」
「うん」
「そっか」
「あのね」
「奈々子」
「そうだね」

きっと傍から聴いてたら分からない言葉でやりとり。その言葉の中には、お互い好きだよという気持ちを乗せて。

「成一」
「なに?」
「明日晴れるかな?」
「どうだろうな」

どうでもいいような話にも気持ちは溢れてる。交互に頬へキスをしあう。まるで永く続いてきた二人のようで。



*中村悠一*

「だめ?」
「……一回だけだからな。言い直しもしてやらないからな」
「うんっ!」
「………ずっと好きだ」

好きって言って欲しくなって、だめ元で頼んでみたら以外にも。それも特別な言葉をつけてくれて。

「悠一のツンデレ」
「どこがだよ。なぁ、奈々子は?」
「私も悠一をずっと好き。きっと絶対」
「………当たり前だろ」

照れ隠しで不貞腐れた相手と、幸せで笑う私。そっと相手の額にキスをしてみた。まるで誓い合う二人のようで。





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