夏真っ盛り
*小野大輔*
「あーつーいー」
もうダメだ!と服を脱ぎ捨てた。
「え?わっ!はぁ?!」
「大輔うるさい」
「いや、だって何脱いで、」
「ちゃんとキャミ着てるから」
そういう問題じゃなくて!と、やっぱりうるさい。じゃあどういう問題?かと思えば、
「目のやり場に困るんだって!」
ウエストのくびれやら、腹チラ具合や、とか言い出して。これはあれか?あれか!
「変態か!」
「奈々子ちゃんのせいだって!」
*保村 真*
「あーつーいー」
暑さに負けて服を脱ごうとしたら、裾を握った手が捕まえられた。
「真?脱げないんだけど?」
「脱ぐの?」
「暑いし」
「いや、うん、確かに暑いしけどね」
キャミを着てるから問題はないと思ったんだけどな。真の慌てっぷりを見て、なんだかシュンとなる。
「奈々子?…怒ってんじゃないよ?」
あ、ちょっと安心。
「ただ、ね。なんつーか、目のやり場に、ね」
首元から自分で胸元を覗き込んでみる。……あ、今日は上から見られたら危ないかも。
「ちょっと早いけど扇風機出そっか」
「お願いします」
*羽多野渉*
「あーつーいー」
もう無理だから!服を脱ぎ捨てた。振り向いてギョッとした渉が、すぐさま振り向き直して押し入れを漁り始めた。1分もかからずにタオルケットを被せられた。
「渉?」
「はい!え、あ、なに?奈々子ちゃん」
被せられたタオルケットの端っこから、もぞりと顔を出せば、丁度クーラーのスイッチが入れられた。
「クーラー、まだ早くない?」
「ドライだからそこまで冷えないよ」
「そっか」
で、なんで視線逸らしたまま?一歩、膝で前に進めばタオルケットの前をしっかり合わせられた。
「渉?あの、なんで?」
「てっ…照れるから」
キャミ姿、アウト?
*岸尾だいすけ*
「あーつーいー」
暑い。もう無理。絶対無理。というわけで服を脱ぎ捨てる。
「ちょっと、奈々子。それは俺への挑戦?」
「だいすけ?いや、挑戦って…なにも挑んでないから」
「受けて、立つ」
聞いちゃいないよ、この人。
「それで?なんで脱いでんの?」
「へ?や、ただ暑かったから」
「誘ってくれてるんじゃ、ない?」
「それはない。まったくないから」
着ていた薄手の長袖の上着ではなく、半袖のシャツを肩にかけられた。
「これ、だいすけの、」
「俺はー下にTシャツ着てるから。着てなさい」
暑いのに…、と膨れたら聞こえた言葉。
「我慢するのも精一杯だっつの」
*杉田智和*
「あーつーいー。」
上着を脱ぎ捨てようとして、お腹まで捲って、止めた。
「惜しい、って顔してるな。バカ智和」
「なぜわかった?!」
「………」
改めて上着を思い切り脱ぎ捨てる。
「ちょっと待て!奈々子!脱ぐの止めたんじゃないのか?」
わたわたとして、後ろ向いて、かと思えばチラッと振り向いたり。面白い。
「脱いで欲しかったんじゃないの?」
「いや、それはだな、」
「ちゃんとキャミ着てるよ?」
「そうなのか?って、そういった訳でもなくだな、」
もうちょっと遊びたいけど、
「さっきからお前ら2人、なにしてんだ?」
「なっ中村!?」
残念時間切れ。
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