寝ちゃったよ


*市来光弘*

目が覚める覚めないのギリギリライン。確か光弘はベッドに寝ころんでゲームをしてたはず。気配を探せば、予想以上に近くにあった。

「あ、死ぬ」

まだゲームしてるのか。でも、気紛れに頭を撫でられてる。無意識だったらいいのに。

「光弘?」

力を振り絞って目を開けると、ポンポンと軽く頭を叩いて手が離れていった。

「おはよ、奈々子」

無意識じゃなかったらしい。恨めしく睨めば、こっちを見ずに笑ってた。



*鈴木達央*

目が覚める覚めないのギリギリライン。何で意識が浮上してきたんだろう、なんて思えば、呆気なく原因がわかった。くすぐったい。唸りながら手を払いのけても、またすぐに戻ってくる。何度も瞼や唇を撫でていく指はくすぐったいに他ならない。

「起きたか?」
「ゃぁ」

手を払いのけ続けてる間聞こえていた笑い声が止んだ。代わりに耳元を吐息が掠めていく。逃げようと身を捩っても無駄らしい。

「起きねーならキス。拒否したら強制。どっちにする、奈々子」

バカ達央。結局は私、キスされるしかないんじゃん。お昼寝さん、さようなら。



*寺島拓篤*

目が覚める覚めないのギリギリライン。お腹の辺りに誰かさんの手がある。その手はあやすようにお腹を叩いてる。

「たくま?」
「ん?あ、奈々子。起きた?」
「ん…」

起き上がろうと思って止めた。拓篤の手がお腹から退かない。無意識、なのかな?

「拓篤、1人でつまんなかったの?」
「なんで?」

手は離れていかない。その時になってようやく、無意識でやっているんだと気付いた。

「なんとなく思っただけ」
「そ」
「さて、起きて拓篤と遊ぼうかな」
「ベッドの上で?」
「ばーか」

2人で笑いあう。ほら、つまんなくない。



*杉田智和*

目が覚める覚めないのギリギリライン。ぼんやりと目を開けて、寝起きの一言を言い放つ。

「何しようとしてんだ?」
「奈々子…こ、怖いぞ?」
「あぁ?」
「いや、お前は俺の前でだけ寝起きが悪いな。俺に気を許してる証拠なんだろうが、女としてはどうかと思うぞ?」

何か言い続け、一向に退く気配をみせない相手の胸倉を掴む。

「いいからさっさと、退け」

すごい距離を取って、定番のように膝を抱えて座って拗ねられた。あーもう、うっとうしい。

「馬鹿智和。人の寝込みを襲おうとしたのは許してやる」
「寝込みじゃなかったらいいんだな?」
「は?ばっ、都合の良いように解釈しすっ!」

寝起きにキスなんて、白雪姫だってビックリだ!



*羽多野渉*

目が覚める覚めないのギリギリライン。それでもなんとか目を開ければ、そこは自分の寝ていた床じゃなかった。

「ベッド…」

ご丁寧に上着は脱がされ、寝苦しくないようにか、相手のトレーナーが着せられてる。おまけに布団までしっかり掛けられていて、まるでお姫様扱い。

「渉?」

部屋のドアを開けたら、すぐさま渉と目が合った。

「おはよう、奈々子。喉渇いてない?大丈夫?」
「うん。平気。おはよう」

笑顔の渉を見たら、寝起きだからかいつになく甘えたくなって。飛びついたら、焦りながらも緩く抱きしめてくれた。

「渉、ありがとう。好き」

顔を真っ赤にした渉をからかうのはいつものことだけど。





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