あなたの宝物


明日は雨が降るのか槍が降るのか。この人に飲みに誘われるのは、まぁ、よくあることだけど。

「可愛いっしょ?俺の。」

何人目か知ったこっちゃないけど、彼女を連れて来るなんて。

「はい奈々子、自己しょーかい。」
「えと、初めまして。篠崎奈々子です。今日は突然ごめんなさい。」

しかも鳥さんが言ったように本当に可愛いし。いや、なんか美人とかほんわかした、とかじゃなくて、本当に可愛い。あー!なんて言うんだ、こうゆうの!

次の瞬間頭を殴られた。

「俺の奈々子がよろしくっつってんだけど?」
「あ、どーも。」
「ふふっ。噂通り。」
「ちょっ、鳥さん!なに教えたんですか?!」
「さあ。んなことよりもさ、ジロジロ見るなよ。」
「いいじゃないっすか。奈々子さん減るもんじゃあるまいし。」
「俺以外が見たら減る。んなことより、お前が奈々子言うな。」
「奈々子、奈々子、奈々子」
「死ねよハゲ」

鳥さんも鳥さんで意外に沸点低いかも。…奈々子さん関連だけかもしれないけど。

「浩、そうやってすぐ人を叩かないの。」
「はぁい。」

しかも素直だ。ちょっと不貞腐れたけど。ビール、グラス半分一気とかしたけど。

「鳥さん。奈々子さんちょうだいよ。」
「誰がやるか、ハゲ。」
「だから誰がハゲですか。」
「お前。」
「浩っ!」

奈々子さんはオレの味方らしい。

ぶつくさ言いながら、奈々子さんの肩に寄り掛かる鳥さん。これまた珍しい。写メってよっちんに送りたい。リーダーにも。つか全員に。でも実行する勇気は、ない!空になったオレのグラスを見て奈々子さんが一言。

「まだなにか飲みます?」
「いいよ、奈々子。そんなんに気使わないで」
「あ、じゃあビール追加で。」
「お前は気を使えよ。」

なんか今日の鳥さんは珍しすぎる。からかい甲斐があるというか。奈々子さんって偉大だ。

「だぁから奈々子を見るな。」
「あ、奈々子さん。ビール注ぎますよ。」
「無視か。いい度胸じゃん。」

あー鳥さん、目が笑ってない。据わってる据わってる。

「マジで奈々子さん可愛いですね。」
「そんなことないですよ。」

おっとぉ?!ここで奈々子さんの腰に回っていた鳥さんの手がぁ…さらに引き寄せたぁ!!

「奈々子が可愛いのは当たり前。しかもよく気が回るし、家事洗濯お手のものだし、なんたって俺の彼女だし?」

あ、もうお腹一杯なんで帰りまーす。



fin


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