羨望聴講


久しぶりに宮田っちと食事。ほんとーにっ、久しぶりで楽しみにしてはいたんだけど、

「聞いてる?直くん」
「もー聞いてるって」

あれー?なんでこうなったんだろ?

「でね、奈々子がそこで顔真っ赤にしちゃって、」
「うん……ね、宮田っち」
「ん?なに?」

キョトンとした表情で見られても、なんだか俺が淋しいみたいで、すっごい嫌なんだけど。

「奈々子ちゃんの、話ばっかりだね」
「なに?直くん嫉妬?」
「それはどっちにするべき?」
「直くんがなんと言っても奈々子はあげられないんだよ」
「知ってるよっ!」

宮田っちのバカ。確かに、確かに奈々子ちゃんは可愛い。それは認める。宮田っちの彼女だって説明されてなかったら、恋心だって芽生えてたと思う。だからって、久しぶりに会って、延々とノロケを聞かされるって、どうなの?

「そうそう、で、真っ赤な顔のまんまギュッって抱きついてきてね、」
「……うん」
「なんで、と思ったら、恥ずかしいから顔見ないでって」

なんでこんなリアルにその場面が想像できてるんだろ、俺の脳内。

「そんな奈々子が可愛くって可愛くって!だってさ、だってだよ?」
「うん」
「首まで真っ赤にしちゃってるんだよ?全身赤かったんじゃないかなー」
「そうなんだ」
「脱がせて確認しとけばよかった」
「ごふっ!?」

思わず飲んでたものが気管支に進入してきた。とっさにお絞りを口に当てるも、咽て、それなりに苦しい。

「大丈夫?直くん」
「んっ…ありがとう。平」
「そ。でね、」

続くのっ?!手に持ったままのお絞りを握り締める。

「そのまま抱きしめてたら奈々子、そのまま寝ちゃってさあ」
「………ん」
「しょうがないからお姫様だっこして、ベッドまで運んで、そしたら、本当可愛いのなんの!」
「……どうしたの?」
「まずベッドに降ろそうとしたら、僕の服掴んで離してくれなくて、」
「………うん」
「仕方ないから、抱っこしたままベッドに座って。そしたらだよ!」

もうちょっと、で、奈々子ちゃん仕事終わるんだって、宮田っち、言ってた、よね。

「ギュッって、服掴んだまま、奈々子完全に寝ちゃってるのに、幸季くん好き、って!」
「あ、そう……」
「ってもうこんな時間じゃん!そろそろ奈々子が仕事終わるから迎えに行かなきゃ!じゃあ、直くん、また都合ついたら食事しようね!」
「うん、じゃあ宮田っち、またね」

ご飯代を置いて、慌しくお店を出て行く宮田っち。はぁ、すっごい、疲れた。奈々子ちゃんを思い浮かべる。……羨ましいよ、宮田っち。



fin


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