問い詰めてやる!


気の向いたときにしか相手をしてくれなくて。それでも、独占欲は強いらしくて、ちゃんと付き合ってる、っていうカテゴリには収まってる。仕事仲間でご飯食べてくるから、と言っても、誰々さんと飲んでくると言って、特定の人の名前を挙げても、いってらっしゃーい、で軽く返されてしまう。一応、前者も後者も、相手は男性が含まれていたり男性であったりするのだけど。そもそも彼女が異性と二人っきりで飲んでくるというのに、反応が薄いっていうのはどうなの?!

「だから、マジでなんなの?!」
「お、落ち着きなって、奈々子ちゃん」
「あのね、ホムラ。私は今すっごーい、頭にきてんの!」
「だーれがホムラだっつーの!」
「ホムラシン、ホムラシン、ホムラシン」
「呪いのように繰り返さないで、頼むから」

異性と二人っきりっていう専らの相手はヤスなんだけどね。というか、

「相手がヤスだからいけないの?」
「さっきからアンタ失礼だって気づいてる?」
「ん?なんか言った?」
「なんでも」

本人に直接聞けばいいんだろうけど。でも、これって直接聞くのはアホ丸出しだよね……浮気してもいいですか?なんて。

「奈々子ちゃん、よっちん好きだねー」
「は?…今の流れのどこでそうなる?」
「つまりは、よっちんにもっと構ってもらいたいんでしょ?」
「そうだけど。この間、構って、って言ったらすっごい不機嫌な顔されたし」

いまさらだけど、自分も凄いストレートに物申したな、と思い返しながら、その時の裕行の反応を告げれば、盛大にヤスが噴出した。何かまずいことでも言った?と焦ったら、相手は声を押し殺して爆笑中。

「なに?どうしたの、ヤス。」
「あー、なんていうか、もう、おかしいとしか言い様がない」
「何で?」
「メール見る?」

携帯からとあるメールを引き出したヤスが、その画面を見せてくる。

「なに?…奈々子に手出したらぶっ殺す……?って…え?!」
「びっくりした?びっくりしたっしょ?」

面白そうに笑うヤス。まだ掲げられたままの携帯ディスプレイを再度覗き込んで、差出人の名前確認。

「吉野、裕行……ナニコレ?」
「不機嫌な顔って照れてるんじゃない?」
「あっさりと行ってらっしゃいって送り出すのは?」
「俺を置いていくんならさっさと行っちまえ、ってやつ?」

込み上げてきた言葉はきっと多少の大声で叫んでも許される。

「あのツンデレ裕行!!」

会計も忘れて荷物を持って店を飛び出す。電話をかければ、いつもは気づかなかった。1コールで出てくる相手。

「裕行?」
「奈々子?…なんだよ?」
「今家?よし、今から行くから!」

それだけ言って走る。走りながら思い出して、心の中だけで叫んだ。ヤス、会計よろしく!



fin


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