これって所謂


「ふーん。そ、っかー。俺よりリーダーの方がいいんだぁ」
「鳥海くんと比べられてもねぇ」
「あれ?リーダーやきもち?」
「なんでそこでヤキモチってなるの」
「違う?」

なんて言うんだっけ?前門の虎後門の竜?二人揃えば鬼に金棒?これは試練?試練ですか?

「はぁーい、奈々子ちゃん、帰っておいでねー」
「なににそんな怖がってるんだ?」
「俺もリーダーも、怖い?」

怖い、と素直に言ってしまえたら楽なんだろうけど、この雰囲気とか雰囲気とか状況とか状況とか状況がそれを許してくれないっぽい。泣けそう。

「奈々子、1つだけ質問に答えろよ?俺と、鳥海くんと、どうしたい?」
「えーその聞き方ズルくなぁい?」

鳥海さんと諏訪部さんと、なんのかんの言い合い始めたみたいだけど、そんな会話1つも頭に入ってこない。『どうしたい?』どうしたい?って、どうしたい?それは、どんな意味?なんて聞かなくてもわかってはいるけど。でも、諏訪部さんは諏訪部さんで、鳥海さんは鳥海さんで。二人とも好きだし、でもそれが恋愛の好きなのかどうかはまた別の話でもって。それでも、恋愛感情が含まれていたとしても、まんざらでもない自分はいるし、でもでも、それがどっちに対しての『まんざらでもない』なのか、よくわからないっていうのが本心で。それなのに。

「奈々子が決めれないなら、俺と鳥海くんとで決めちゃってもいいの?」
「え?え?な、なんで、そ、なるですか?」
「えーだって、俺もリーダーも奈々子ちゃんが欲しいからぁ?」

あぁ、どうしよう。そんなことを言われても、また自分の頭の中はプチパニック。もうプチなんかでは済まされないだろうパニックで。欲しいって、なに?なんて意味のない疑問が過ぎっていくし。

「隙あり」

!!!!!キキキキキキキ、キスされた?!とととと鳥海ささささんに?!

「ズルいって」
「したもん勝ちでしょ」
「ならお言葉に甘えて」

諏訪部さんに抱き寄せられた。え?え?なんて混乱したままなのに、また今度は諏訪部さんからのキスで、えぇ?と余計に混乱。自分が今どんな状況なのか、どんな態度を取るべきなのか、なんて、まったく思考が纏まってくれない。

「奈々子ちゃんが決められないなら、こういう結果になるけど?」
「不毛な関係って言うんだけどな」
「じゃあリーダー諦めてよ」
「鳥海くんが諦めてくれれべいいんだよ」

そう言い合う二人の表情は牽制し合ってはいるけど、心底邪魔扱いをしているような表情ではなくて。逃げよう、とりあえず今日だけでも、この二人から逃げおおせよう。そう考えて踵を返したつもりが、予想以上に諏訪部さんに抱きとめられてて、しかも背後に鳥海さんが移動してきた。

「奈々子、逃げようなんて考えるなよ?」
「諏訪、部、さん?」
「奈々子ちゃんのために言ってるよ?」
「鳥海さんまで、な、なに、言って、」

答えのでない質問に、どうやって答えたらいいですか?

『どっちを取るの?』



fin


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