難解意思解読


あーもう!振り向いて後ろでゲームをしてる浩史を睨む。ゲームをしてる、と思ってたのに、いつ止めたのか、ゲーム機は脇に置かれていた。

「なんだよ?」
「こっちのセリフだから。台本に集中できないじゃない」
「それは俺のせいじゃない。奈々子に集中力がないだけだろ」
「それは浩史が見てくるからでしょ!」
「自意識過剰だろ。俺は別に見ていない」

早口言葉の連続のようなセリフに、悪戦苦闘してるというのに。後ろでしれっとしてる人物はゲームもしないで、じゃあ何をしてるんだ!言ったら言ったで、また丸め込まれるのは目に見えてる。我慢だ我慢。

「少し……太ったか?」
「何見てんの!!」
「お前が見てほしかったらしいから、わざわざ見て、事実を言ったまでだろ」

ああぁ、だからなんで私は反応してるんだ。

「台本、読んでるんじゃないのか?」
「そうでした。そうですけどっ!」
「少し痩せた、とでも言って欲しかったのか?」
「うっ…」

見え透いたお世辞過ぎて凹む、気がする。だって、別にダイエットなんてしてるわけでなし、自然に体重が減ってる、なんてこと、ないと思うし。

「なに凹んでるんだ?」
「太ったのかな、やっぱり…」

溜め息をつかれた。え?それって、やっと自覚したのかってこと?!

「冗談だ。別に太っても痩せてもない」
「………性質が悪い」
「なにか言ったか?」
「別になにも」

台本に視線を戻そうとしたら、ペシリと頭を叩かれた。い、痛い。

「ひーろーしー?」
「奈々子、お前馬鹿か?まぁ、馬鹿じゃなかったらこんなこと言う必要もないのか」
「ちょ、わけ分からないし!というか、痛かった」
「ちゃんと手加減しただろ」
「今ので?!」
「俺の手が痛くないようにな」
「そっち?!私の頭の心配は?!」
「しなくても大丈夫だ」
「断言?本人痛いって言ったのに、そう断言しますか?!」
「うるさい」

横暴。横暴だ。横暴以外の何者でもない。浩史のば───

「俺が構えと言ってるのを無視する奈々子が悪い」
「………そんなこと、言ってた?」

ポカン、として聞き返せば、浩史が顔を赤くする。珍しいものが見れた。

「目は、口ほどに…物を言うって、言うだろ馬鹿」

だからジッと見てきたのか。

「分かりずらいよ馬鹿」
「俺を好きならそれぐらい空気で読み取れ」

仕方ない。早口に慣れるように、地道に努力、してあげますか。なんたって、大好きだから!



fin


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