3匹でじゃれついて


プリンやらカレーやらお菓子やら持って、突撃しにきた。チャイムを鳴らせば、予想通り、出てきたのは部屋の主ではなかった。部屋の主(仮)に温かく迎えられ、中に入れば、クッションを抱きしめて胡坐してる姿がある。手にはコントローラーを握っているからゲームでもしているんだろう。だってテレビ画面にはサッカ ーのゲームが映ってる。

「よっちーん?起きたら?奈々子来たよ?」
「寝てんの?!」
「かれこれ一時間ね」

苦笑しながら、ヤスはよっちんを起こそうと、揺すったり揺すったり揺すったりしてる。見ていて面白いから、しばらく眺めてみる。

「ちょっと!奈々子は見てるだけなの?!」
「だって起きて機嫌の悪いよっちんに八つ当たられたくないし」
「俺は?!」
「ほら、頑張ってヤス!」
「マジかよ?!」

そうしてる間に、半覚醒したらしいよっちんが、寝ぼけたるのかヤスを押し倒した。

「あ、あったかそう。いいなー」
「よっち…重っ、助けっ」

あ、よっちんが今度こそ覚醒するっぽい。

「ん…は?ヤス?なんでテメェに俺が抱きしめられてなきゃいけねーんだよ!」
「あーたが押し倒してきたんでしょーよ!」
「知らねーし。つか奈々子じゃん。来てたんならお前が起こせよな!」

起きた途端から賑やかだなぁ。楽しい。

「だって、私が起こしたら押し倒されるの私になっちゃってたじゃん」
「だからいいんだろ?」
「なっ!変態!」
「男としてあたり前の意見をだなぁ」

二人でしばらくそのことについて押し問答していたら、ポツリと第三者が呟いた。

「俺は…邪魔か?邪魔なのか?」
「ソンナコトナイゼ、ヤス!」
「ソウダヨ、ヤス!」
「二人して嘘っぽい!俺はそんな嘘には騙されないぞ!」

すっかりイジけたっぽいヤスの前に差し入れのプリンを出す。

「ほーらヤスー。プリンだよー」
「あ、なに?俺のは?」
「よっちんの?ないよ」
「ふざけんな。じゃあこれは俺んだろ」

今度はプリンが誰のものなのかの押し問答。またしばらくして第三者の呟き。

「帰ったほうがいい?邪魔ならそう言ってくれ!」
「ソンナコトナイゼ、ヤス!」
「ソウダヨ、ヤス!」
「またさっきのパターンかよっ!」

ポン、とヤスの肩をたたく。

「大丈夫だよ、ヤス」
「奈々子」
「そうだって、ヤス」
「よっちん」

一呼吸ためる。タイミングがよっちんと一緒になった。

「「ヘタレなだけだし!」」
「今の俺のちょっとした安心を返せよ!」

よっちんと私の笑い声はしばらく絶えそうにないみたい。



fin


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