共同作業


買い物行こうなんて言われて、いいよってついて行って、どこにと思えばスーパー。ねぇねぇと相談されて、何かと思えばお昼ご飯の相談。二人揃って仕事がない日はこういう流れになれるのか、なんて思ったら、あれ?ちょっと待って。なんだか夫婦っぽくない?マァマー、これ買ってー、って小さな子がお菓子、というか40円の棒つきキャンディーを大事そうに持って走っていくのを見て、自分たちに子供がいたら、なんてことまで考えてしまった。

「顔赤いけど何考えてた?」

ヒョイと顔を覗き込まれて、不自然にも顔を逸らした。考えが読まれてたのか、健一が不機嫌になることなく、嬉しそうにカートを片手で押してく。もう片っぽは私の手を掴んでた。

買い物が終わって、いざご飯の準備。クリームソースの海鮮オムライス。次から次に食材を切っていく横で、健一はフライパンに油を引いて玉ねぎを炒めてる。鼻歌が聞こえてくる。

「ご機嫌?」
「ん?もちろん。奈々子との共同作業中だし」
「ケーキを切るんじゃなくて?」

自分でも心臓が爆発するんじゃないか、なんて思いながら口にした。健一は口端をゆっくり引き上げて、綺麗なキツネ色になった玉ねぎとたっぷりのバターとご飯を炒め始めた。

「ケーキ切るのを最初がよかった?」
「結婚って、憧れない?」
「じゃあ結婚式する?」

あれ?なんか変だぞ。

「奈々子、クリームソース作って」
「ね、結婚する…じゃないの?」
「あれ?まだだっけ?」

最後の一匹だったエビの殻を剥いていたのに、そいつは床に落下していく。笑いながら健一が代わりに拾い上げてくれた。

「奈々子、やっぱご飯お皿に移して」
「うん…わかった」

ぼんやりしながら言われたことをしていく横で、健一が実に手際よくクリームソースを作っていく。アサリやエビとかも混ぜ合わさって、いい匂いが漂い始めた。

「ご飯完璧?」
「できてるよ」

なんだか妙に意識して顔が見れない。
まだ湯気を立てているご飯に、いつの間に作ったのか、ふわふわの卵が被せられる。出来上がったばかりのソースがかかる。

「完成」
「ほとんど健一が作っちゃった」
「その分奈々子は俺のこと考えてくれたんだから。いいんじゃん?」

あまりにも恥ずかしい。背中を向ければ、待ってましたとばかりに首に口づけられた。

「籍入れるの忘れてたな」

笑う健一がなんとも憎らしい。



fin


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