短編小説 | ナノ

▽ 未来認定 2


「え……それで尾形の奴、俺に説明全部丸投げしてきたの?」
「うん……」
「あのコウモリ野郎……」

尾形の家で夕食を作った翌日の午後、名前は杉元のアパートにまで来ていた。

名前が中学生になってからは、杉元も名前への過剰なお守りはしていない。学校での登下校を見守る程度のことはしても、名前の家庭面や友人達でのプライベートに関しては下手に干渉しないようになった。

昔からなにかと面倒を見て名前を見守り続けていた杉元は、今日こうして名前が個人的な用事で自分の元にまで訪れて来たことが素直に嬉しかった。しかしその理由を聞いて、彼は高揚させていた気持ちが一気に萎えてしまった。むしろ、尾形に対して怒りまで抱いていた。

「由兄ちゃんのことで相談すると尾形お兄ちゃんいつも不機嫌になる……何でなの?」
「うん、まあ、気持ちはわからなくないけど……」
「どうして?」
「それは言えないけど……」
「杉元お兄ちゃんもはぐらかすんだ……」

視線を逸らして言葉を濁す杉元に名前は顔を俯かせた。名前を落ち込ませてしまったことに杉元は一瞬胸を痛めたが、そこから先の言葉を口に出そうとはしない。

必然的に気まずくなってしまった空気に耐えかね、杉元は名前に何か明るい話題を振ることに決めた。

「名前くん、中学校は楽しい?」
「えっ? ……うん、まあ……」
「部活はもう決めたの?」
「部活は……あんまり……」
「えっ?好きな部活なかった?」
「う、ん……」

今度は名前の方が言葉を濁した。
何か隠しているのか──心配になった杉元は名前の落ち込んだ顔を覗き込みながら優しく微笑んだ。

「……もしかして学校で何かあった?」
「……そうじゃないけど……」
「うん?」
「……文化系の部活に入ろうかなって思ってて、気になったところは見学してみたんだけど……」
「うん」
「……女子ばっかりで、男子が全然いなくて……」
「あー……」

そうだった──杉元は名前の話した理由にようやく彼が入部を渋る訳を察した。

名前は昔から女子が、というよりも女性が苦手だった。特に世間から美女に見られる女性や感情の起伏が激しい女性は名前にとってトラウマレベルであり、下手に話しかけられると名前はすぐに具合を悪くさせた。

杉元はそんな名前の心の悩みを知っていたので、共学は避けた方がいいのではないかと白石に相談していたのだが──

「あ……心配しなくても大丈夫だよ。僕、好きであの学校選んだんだから……」
「うーん……。でも名前くん……そんな無理してまでアシリパさんの母校に行く必要ないんじゃない? その調子だと、アシリパさんが通ってたからって理由で第七北鎮高校まで行く気でしょ」
「だって……」
「もっと自分のこと大事にしなきゃダメだよ、名前くん」

杉元に肩を優しく叩かれ、名前は気まずそうに身を縮ませた。今の言葉を説教だと受け止めたのか、なかなかこちらと目を合わせようとしない名前に寂しさを感じた杉元は、彼の肩に当てていた手をそっと頬に滑らせた。それに驚いて顔を上げた名前の見開かれた目を杉元は優しい眼差しで見つめた。

「名前くんももう中学生だもんな……。悩みも増えてくる年頃だし、俺のことを鬱陶しく思うこともあるだろうけど、俺はずっと名前くんの味方だから……」

困った時はいつでも頼ってくれていいんだよ──続けて語られた杉元のそんな言葉に、名前は何故か突然泣き出しそうな顔になった。
それにギョッとした杉元は慌てて彼の頬から手を引いてあわあわと両手を振った。

「ごめん!また俺余計なこと言った!?」
「違う……違うよ……」

名前は首を振って否定した。

「杉元お兄ちゃんは昔から僕に優しくしてくれるから……僕、知らないうちに杉元お兄ちゃんに迷惑かけてるんじゃないかって思って……」
「えっ!? そんな……迷惑だなんて思ってないよ! っていうか、むしろ名前くんに頼ってもらうことの方が俺にとっては嬉しいと言うか……」

あーもう、格好つかないな──そうこぼして後頭部を掻く杉元を見て名前はようやく小さく笑った。その微かな笑みに気付いた杉元も、恥ずかしそうに微笑んで首を竦めて見せた。

「杉元お兄ちゃんは優しいから、結婚したらきっと幸せな家庭になると思う」
「え〜? ……俺は今のところ結婚なんて考えてないけどなぁ」
「どうして? 杉元お兄ちゃんカッコいいし、絶対モテると思うよ?」
「うーん……モテるとかモテないとか、そういうのは別にして……今の俺には必要ないっていうか……」
「……?」

言葉を濁す杉元に名前は不思議そうに首を傾げたが、すぐにハッとなって俯くと自分の顔を赤らめた。

「ご、ごめん……!嫌な話題振っちゃって……!こういうのって確か、ハラスメントになるって……」
「あ、違う違う。そういう意味で否定した訳じゃないんだ」
「え?」

手を振って苦笑して見せた杉元に名前は困惑し、思わず顔を上げた。

だったらどうして?
続けてそんな言葉が出てきそうだったので、杉元は曖昧な笑みを浮かべてそこから先の答えを濁した。中学生になって少しは相手の気持ちを察する能力を身に付けた名前は、杉元のそんな曖昧な笑みに気付いて自分から口を噤ませた。

「……白石の件だけど」
「え?」
「あまり気にしない方がいいよ。あいつが名前くんを悲しませるような真似するわけないし……」

一番気にしていた話題を振られて名前は眉尻を下げた。杉元にそう慰められても、彼と一緒に暮らす限り気になってしまう。

「……結婚して、それで由兄ちゃんが幸せになるのなら僕は別に反対しないよ。……でも、それで僕がひとりぼっちになるのが……怖くて……」

体を縮こませながら話す名前の顔には、微かな寂しさと、その孤独に対する恐怖心が滲んでいる。杉元は名前の呟きを聞いて顔つきを険しくさせると、空いたままだった名前の手を引いて優しく握り締めた。突然手を取られた名前の顔が緩やかに上がった。

「名前くんはひとりじゃないよ」
「えっ……」
「もし本当に名前くんが白石以外に頼る人がいなくてひとりぼっちなら、わざわざこうして俺のところにまで来ないよな?」
「あ……」

杉元は、今気付いたとでもいうような名前の驚いた顔に小さく笑った。

「今更俺も名前くんの一番になろうなんて考えないけど……こうして知らないうちに名前くんに頼ってもらえるのはすごく嬉しいし、自分を少し誇らしく思う。だから、白石がいないからって自分をひとりぼっちだなんて決めつけないでさ、もっとこう……いつでも俺のこと頼ってよ」

名前がこのまま健やかに成長するに従って、自分の必要性は益々無くなってしまうだろう。そうなった時に見えてくる未来で怯えているのは、ひとりぼっちを恐れているのは名前だけではないということを杉元は伝えたかった。

「白石のことなら大丈夫だ。名前くんは今まで通りにあいつを信じてやってればいい。週末の大事な話ってのは……先がわからないってのは怖いと思うけど、いずれは知ることなんだし、それならドーンと構えてた方がいいと思わない?」

そう言って首を傾げながら苦笑する杉元に名前は呆気にとられたが、すぐに名前もつられるようにして微笑んで、杉元の手をそっと握り返した。

「うん。……そうする」

ありがとう、杉元お兄ちゃん──屈託のない笑みに、杉元は目を細めて笑った。


◆◆◆


約束の日──
名前が恐れていた週末の夜は、ついに訪れた。

白石と名前は久方ぶりに、第七団地と知多々布の間にあるキラウシの居酒屋に訪れていた。完全個室が存在しないその小さな個人経営店には、畳の上に衝立が設置してある程度で周りから聞こえてくる声は大体筒抜けである。週末ということもあってか、店の中はなかなか賑わっていた。

「名前、好きなモン頼んでいいぞ」

テーブルを挟んでメニュー表を差し出しながらそう話すのは、仕事明けでろくに眠っていない白石由竹だった。名前は少し申し訳ない気持ちになりながらも苦笑いし、差し出されたメニュー表をそっと受け取った。

「久々に酒でも飲みてぇけど、今日は我慢だなぁ」
「どうして? 由兄ちゃん飲みたいなら飲んだらいいのに……」
「飲んだら眠くなっちまうからな……。お前と話したいこといっぱいあるし、今夜は我慢する」
「あ……」

その時名前の脳裏に白石が話した大事な話のことが過ぎった。

やっぱり結婚? 由兄ちゃん、いい人が見つかって、僕に紹介しようとか思ってるのかな。

勘繰った名前はメニュー表に暗い顔を俯かせた。別のメニュー表に目を配らせていた白石は、名前のそんな様子には気付かない。彼はお酒のページを全て飛ばして、書かれた料理の種類ばかりを見ていた。

「おっ、豚の角煮とかいいなぁ。最後に食ったのもう何ヶ月も前だし……」
「……っそんなの僕が今度作るよ!」
「は?」

突然声を荒げた名前に白石は思わずメニュー表から顔を上げた。目の前では、悔しそうに下唇を噛んで眉根を寄せている名前がいる。白石は首を傾げながら怪訝な顔をして見せた。

「急にどうしたんだよ、名前」
「……今度、僕が作るから……」
「いやいやいや……お前に作って欲しくてお願いした訳じゃなくてだなぁ……」
「だって由兄ちゃん、食べたいんでしょ?」
「あーうんまあ、食べたいけど……お前に作ってくれって言ってる訳じゃないんだって。ほら、メニューにあったから食べようとしたわけで……」
「あ……ごめん……」
「いや、怒ってねーって。そんな顔すんなよ」

落ち込んだ様子で謝る名前の下がった頭を白石は苦笑いしながら撫でてやった。白石に撫でられたことが嬉しかったのか、落ち込んでいた名前の顔に笑顔が戻る。

「名前も何か食いたいものあるなら遠慮なく選べよ? お前今育ち盛りなんだからな!」
「僕はそんないっぱい食べないよ……」
「もぉ〜!そんなんだからお前は昔と変わらず細くて軽いんだよ!由兄ちゃん心配になんだろ〜?」
「だって……いつも体動かして肉体労働してるのは由兄ちゃんの方だし、由兄ちゃんの方がいっぱい食べた方がいいかと思って……」
「は? なに? お前まさかそんな理由で普段から俺におかず多くやってたわけ!? 」
「ぅ……」

家では大概食事を作っていた名前は、いつも白石に多めのおかずを出してやっていた。食費をなるべく抑えようとすれば、その分どこかで分量を調整しなくてはならない。名前は本来自分が摂るべき食事の量を減らして、全て白石に分配していたのだ。

「バカ!育ち盛りの中学生が大人なんかに気ィ遣うなよ!」
「だって……」
「”だって”じゃありません!お前今度から普段の飯の量二倍だからな!」
「え〜!」
「“えー”とか言わない!くぅ〜……っ単に少食なのかとか思ってた自分が憎いぜ……。ほらっ、肉頼め!肉!焼き鳥でもいいから!」
「えっ……あ、じゃあ……鶏つくね3本……」
「キラウシ〜!とりあえず鶏つくね10本と砂ずり10本よろしく〜!」
「こんな忙しい時間帯に時間かかるモン頼みやがってこの煮卵頭!」
「名前が全部食うから〜!」
「ちょっと由兄ちゃん……!」
「よしきた、待ってろよ名前坊ちゃん!」
「あーもう……!」

勝手に全て食べることにされてしまった名前は眉根を寄せて不満顔をして見せた。白石はその顔に気付くとニカリと笑って、名前の額を人差し指で突いてやった。

「なーにへそ曲げてんだよ」
「由兄ちゃんが勝手に頼むから……」
「前は『半分こしよーね』とか言って喜んでたじゃん」
「そんなの、僕がまだ小さい時の話だよ……」
「由兄ちゃんにとっては今のお前も小さいままに見えるぜ」
「ッちゃんと大きくなってる!」
「ふーん。小学六年生の頃、小さい順で並んだ時一番前にいたのは誰かな〜?」
「もう!あれはみんなが背が高いだけで、僕は普通なの!」
「はいはい」

名前の言い分も軽く聞き流しながら笑う白石に、名前は顔を赤くして拳を握った。途端にフイッと顔を逸らしてしまった名前に白石は「おっ」と反応すると、その膨れた横顔に穏やかな眼差しを向けた。

「名前ももう中学生かぁ……」
「…………」
「大きくなったんだなぁ……」
「……馬鹿にしてるの?」
「あー違う違う。今度はからかって言ったんじゃねぇって」
「……本当はそんなこと思ってないくせに……」
「拗ねちゃってさぁ」
「由兄ちゃんのせいだよ」

ジトリと目を細めて不機嫌さを露わにする名前をひとしきり眺めると、白石は徐に自分の横に置いていた鞄の中身を片手で漁り出した。急に目の前からゴソゴソと音が聞こえたので名前もつい視線を向けてしまう。

「ほら、名前」
「えっ……」

白石は、鞄の中から小さな箱を取り出して見せた。小さいと言っても手のひらサイズはあるその長方形の箱には、世界でも有名な企業のロゴマークがついていた。

「由兄ちゃん……これ……」
「スマートフォン。本当はお前にはまだ早えかなって思ってたけどよ……お前の友達のチカパシが持っててお前が持ってないのはちょっと可哀想かなって思ってさ……。だから今日は俺と、このスマフォでの約束事を決めるぞ!大事なことだからちゃんと聞けよ?」

これは由兄ちゃんからの入学祝いだからな──そう言って歯を見せて笑う白石に、名前は頬を赤らめて目に涙を滲ませた。

突然涙を見せた名前に白石はギョッとすると、慌ててテーブルに身を乗り出して名前の肩を掴んだ。

「お、おい!泣くなよ!えっ? なに? 勝手に種類選ばれたの気に入らなかった!? 自分が選びたかった感じ!?」
「ぁ……ちが、違うよ……」
「えっ!? 違う!? 思ってたのと違った!? いやっ、でも……」
「違うよ由兄ちゃん……。ごめん、すごく嬉しいのに……それ以上に安心しちゃって……涙が止まらなくて……」
「安心……?」

懸命に涙を拭う名前に白石が首を傾げていると、突然名前の横からハンカチが差し出された。

「えっ……?」
「あっ……!」

二人が思わず声を上げて顔を向けると、そこにはハンカチを差し出して笑顔を浮かべる杉元と、無表情でポケットに手を突っ込んだまま突っ立っている尾形がいた。

「お前ら何で来てんだよ!」
「いいだろ、別に。名前くんお前のことで相当悩んでたから、様子に見に来たんだよ」
「はぁ? 何のことだよ!つーか尾形ちゃんは何しに来たの!?」
「こいつに渡すものがあるから来た」
「それ別に今じゃなくて良くない!?」

喚く白石のことなど眼中にないとでも言うように、尾形は唖然としている名前の前にポケットから出した物を突き出した。名前は更に目を丸くさせ、尾形が突き出してきた物を見下ろした。

「今度から俺の部屋に入るならこの鍵を使え。もうベランダから勝手に入ろうとするな」
「えっ、あ……」
「ちょっとォ!? 聞き捨てられないセリフなんだけどォ!? 名前、お前いつから尾形ちゃんの部屋にベランダから入ってたの!?」
「おい。被せてくんなよ尾形」
「あっ……」

そう言って不機嫌そうな顔つきで杉元が差し出したのは、尾形と同じで一本の何かの鍵だった。

「名前くん、コレは俺の部屋の合鍵。何か相談したいことがあったら、いつでも俺の家に来ていいからな」
「えっ、でも……いいの……?」
「うん。本当はもっと早く渡そうかと思ってたんだけど、俺も色々悩んでてさ……。でも、名前くんももう中学生だし、そろそろ鍵を任せても大丈夫かなって思って、今日渡すことに決めた」
「ハッ。未成年と同棲でもする気か? 犯罪だぞ杉元」
「うるせぇな。そんなんじゃねーよクソ尾形」

睨み合いながらお互いに火花を散らす二人の間に、白石は自ら体を割り込ませ強引に彼らを引き離した。

「だぁあもう!どっちも合鍵なんか作って名前に渡そうとしてる時点でアウトなんだよ!下心見え見えで反吐が出るくらいだぜ!」
「なっ……ンだよ下心って!俺は別にそんなつもりで合鍵作ったんじゃないからな!」
「どうだか……お前は昔から年下の子供とよくつるんでいたし、前々から俺は怪しいと思ってんたんだがなぁ」
「アシリパさんをそんな風に見てんじゃねーよ!お前なんか前に名前くんに夕飯作らせただろうが!俺よりよっぽど同棲っぽいことしてるくせに偉そうなこと言うな!」
「こいつが勝手に作りに来たんだ。……喩えるなら、押し掛け女房みたいにな」
「わざわざ喩えんな!」
「ちょっと待て夕飯って何のこと!? 何でそんなこと杉元が知ってんの!? つーかそれマジな話なの!? どーなのよ尾形ちゃん!」
「女房に聞け」
「何が女房だッ!!」
「調子乗んな尾形!!」

「あ、あの……」

なんとか三人の喧嘩を止めようとする名前であったが、売り言葉に買い言葉で三人の喧騒は一向に止む気配がない。

困り果てた名前が言葉を探すうちに、喚く三人の背後からスパパパンッ──と小気味よく乾いた音が鳴った。傾く三つの頭の後ろから、青筋を浮かべたキラウシの姿が見えた。彼の手には、おそらく三人の頭を叩いたと思われる二枚のメニュー表があった。

「客として来てんなら大人しく席に着いてもらえねぇか? ウチのご贔屓さんの迷惑になるからよ」
「あ……悪い悪い。つい熱くなっちまって……」
「チッ……。ほら、追加のメニュー表」
「え?」

差し出されたメニュー表に白石は目を丸くした。キラウシは不機嫌そうな顔つきのまま、もう片方の手で持っていた焼き鳥の大皿を名前の前に置いてやった。

「そこの傍迷惑なお二人様、追加でこのテーブルにご案内な」

含ませた口調でそう告げると、キラウシはズンズンと大股でカウンターの向こうへと立ち去っていった。白石は顔を青くさせ、慌てて彼の後を追いかけて行った。

「ちょっとォ!待ってよキラウシ!」
「うるせぇ!ついてくんな煮卵!坊ちゃんに何か頼んでやる時だけ呼べ!」
「それがご贔屓さん相手に言う台詞!?」

白石が居なくなって、名前がいる席は途端に静かになった。どこか気まずそうにしている名前を見下ろし、杉元と尾形はお互いに視線を逸らし合うとほぼ同じタイミングで彼に持っていた合鍵を再び差し出した。名前は肩を跳ねさせ、目の前に差し出された二つの合鍵から二人の顔へと視線を向けた。


「お前に任せる」
「名前くんに任せる」


ぶっきらぼうにそう話す尾形と杉元に、名前は幸せに包まれたような笑顔を浮かべて見せた。


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