※※第347話:Make Love(&Public sex).5








 「へえ、醐留権先生のお父さん、まだ居座ってるんだね。」
 休み時間、愛羅は羚亜の悩み相談に乗ってあげていた。
 薔くんと三咲さんにはくれぐれも内緒で、と念を押してきた彼氏がじつは、騒動があった次の日にさっそく薔に話を持ち掛けようとしたことは現場を目撃したため知っており、突っ込みどころは敢えて突っ込まず楽しんでいた。

 「いや、居座ってるっていうか……そもそも自分の家だけど……」
 「ふーん。」
 愛羅は醐留権父の話には、あまり興味がないようだ。
 たじたじしている彼が可愛すぎて、見ているだけで幸せで、興味深い話しか脳は拾わないようになっている。


 「あたし、ずーっと気になってたことがあるんだけど、そろそろ言っていい?」
 「何?」
 ここで、愛羅はずーっと気になっていたこととやらを打ち明けた。
 彼に関する何かしらかと、思いきや。

 「醐留権先生のお父さんって、妻の尻に敷かれっぱなしなんでしょ?だったら、お母さんに頼んで何とかしてもらえばいいんじゃないの?」

 という、まともな気掛かりだった。
 今さらながら目から鱗の羚亜は、彼女を心底かっこいいと思った。

 ずーっと気になっていたならもっと早くに言ってくれればいいのに、とか、そういう気持ちはこれっぽっちも芽生えなかった。



 「すごいよ、愛羅さん!尊敬する!ありがとう!」
 「むしろ今まで気づかなかった羚亜くんと醐留権先生が、すごいと思う。」
 「そうかなあ、えへへ……」
 羚亜は彼女を褒め称え、愛羅は彼を褒めているわけではなさそうだが純粋に羚亜は照れた。

 今まで思いつかなかった羚亜も醐留権先生もいささか間抜けなほど、これまでのお父さんの厄介事は全て母の洋子が解決してきた。
 こんなことをしでかしたとなれば、必汰パパはまたお仕置きされてしまうだろう。



 「じゃあ羚亜くん、あたしに提案料ちょうだい?」
 「提案料……?」
 ニコッと笑った愛羅は、最初からこれが目的だったとしか思えないキュートさで、半ば命じた。
 キョトンとした羚亜はお金を払えと言われているのかと勘違いしそうになったが、そうではなかった。

 「婦人警官のコスプレして尋問中に、襲われて欲しい!」
 「ええ!?何の尋問をするの!?」
 「それは別に拘らない!」
 愛羅は小悪魔を装いながらも、心持ちはエロ親父だった。
 まず、何の尋問をするべきか疑問に思った羚亜は、コスプレについては特に疑問はないという解釈で良さそうだ。

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