※※第346話:Make Love(&Perv).210
(こんなこと…っ、いけないのに…っ、)
いけないことだとはわかっていた、綾瀬はベッドで眠っている好きな女の子の目の前で、床に座ってオナニーをしている。
もしも彼女が目を覚ましたら何の言い訳もできないような行為で、常に後ろめたさが心中にあった。
後ろめたさも、快くなるなら放つまではどうすることもできない。
萌のくちびるを見つめていた綾瀬はいっちょまえに欲情して、鼓動がばくばくと跳ねた。
「ん…っ、うう…っ!」
とっさにパジャマで隠し、飛び散らないように射精をする。
いそいそと傍らからティッシュペーパーも掴んで、拭くのを手助けした。
一夜をプラトニックに過ごしただけで朝からこの爆発ようは、先が思いやられた。
まだ綾瀬と萌は付き合ってもいなければ萌から綾瀬への告白もない、確かな気持ちを伝えられてもいないため無理矢理襲うこともできない。
キスだって、いくら頬に軽くとは言え決してしてはいけなかったはずだ。
「ごめん……萌ぴょん……」
とろとろになった手に視線を落とすと、綾瀬は手を洗いにいったん部屋を出た。
ついでに冷たい水のシャワーを浴びて頭を冷やしてくるかもしれない、ちょっと古風なやり方だし体に悪いけど。
手に付着した精液を「ほぅら飲めよ」とか、AV男優さんみたいなことを言ってみたくても綾瀬には到底できなかった。
あとわざわざ「ほぅら」じゃなくて「ほら」でいいとは思う。
ガタガタガタ……
綾瀬が部屋を出て行くと、堪えきれずに萌はふるえだした。
必死で抑えていた表情がみるまに変わる、蒼白かと思いきや彼女は赤面していた。
(一樹んて……ほんとに童貞なの!?)
その部分を疑わざるを得ない。
じつはキスをされた瞬間に目が覚めてしまい、薄暗がりの中でもご立派なモノは見えてしまった。
※童貞であることとサイズに関係はありません、脱ぎ捨てても小さい人は小さいですし大きい人は大きいです。
綾瀬はたまたま観たAVの男優さんより大きいと自負をしていたので、やはりそれなりに大きくはあったようだ。
アレをどうしたいのかと聞いたらそれはもう、萌とエッチなことをたんまりしたいのだろうけど、それらは今は考えないようにした。
とにかく、眠っている振りに努めてはいたが、目の前で繰り広げられている男性のオナニーを見てしまった衝撃は凄まじかった。
ホラーの衝撃より凄まじいったらありゃしなかった。
しかも精液の、白濁ようがいやらしくて……。
萌ぴょんは「一樹んが戻ってきませんように」と一樹んの部屋でひたすら祈っていた、このあと何とも重い朝食を振る舞われることになるとはまだ夢にも思っていなかった。
[ 506/536 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る