※※第345話:Make Love(&Sex aid).49








 なぜか綾瀬の家に来ると最近はお泊まりになってしまう萌は、終始ドキドキしていた。
 結局、ホラー映画大会は中止になり、そのあとは気まずい時間を過ごして別々にお風呂となった。

 まず、どちらが先にお風呂に入るのかを何度も譲り合って、萌は客人なので頑として譲らなかった綾瀬に先に入らされた。
 全裸になると無性に無防備の気分が押し寄せたものの、綾瀬は萌の裸を覗きに来なかったし無理矢理襲うようなことも決してしなかった。
 ウブなジュニアくんはひたすら我慢をしているのか、そこらへんの上手いやり方を心得ていないのかと言われたら、断然後者のようにも思える。


 身長がさほど変わらないこともあり、萌は彼にパジャマを貸してもらっていた。
 綾瀬は男の子のくせに、女の子みたいな甘ったるい匂いがするので抵抗なく着られたが、よくよく考えてみなくとも立派な彼シャツである。
 萌は心地が良いのだけど落ち着かないという複雑な心境で、部屋に戻った。

 すると綾瀬はヘッドフォンをつけて、スマホで動画を観ていた。

 (オススメしたかった映画かな?)
 と、何気なく思った萌は後ろからちらりと覗いてみた。
 他にどんなホラー映画を観る予定だったのか、気になってはいたし。

 しかしながら綾瀬が観ていたのは、アダルト動画サイトのエッチな動画だった。
 萌が真後ろにいることにまったく気づいていない綾瀬は、女の子は基本的に二時間くらいお風呂に入るものだと勝手に思い込んでおり、まだまだ余裕でいた。

 真っ裸の男女がアダルトに絡みあっている光景を目の当たりにしてしまった萌は、度胆を抜かれた。

 (一樹んたら、そんなエッチなホラー映画をあたしと観るつもりだったの!?)

 と。
 エッチなホラー映画も何も、純粋にアダルトビデオだから。




 「あーっ!やっぱり無理だあ!激しすぎるよ!」
 突然、過激な内容に堪えられなくなり綾瀬は音をあげた。
 びくうっとなって怯えた萌は、ドアまで後ずさる。

 動画は停止しつつ、ヘッドフォンはつけたまま綾瀬は呟いた。

 「こんなすごいこと……僕は萌ぴょんにできるのかな……?」








 「ええええええええ!?」
 「ひえええええ!?」
 萌は驚きのあまり叫び、叫び声に驚いた綾瀬は悲鳴を上げる。
 まだ殺戮とかならそんなに驚きはしなかったが(その感覚で大丈夫か?)、ばっちりセックスシーンだったので驚きは半端なかった。

 「もっ……萌ぴょん!?いつの間に!?」
 「一樹んの変態!やっぱり一樹んも男の子だったんだ!」
 「え!?僕いままで女の子だと思われてたの!?」
 「そういう意味じゃないよ!」
 驚きながらもふたりとも、耳まで真っ赤になっていた。
 エロスが与える恐怖とはこういうものなのかと、ちょっとしたお勉強にもなった。

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