※※第345話:Make Love(&Sex aid).49







 「は…いっ、」
 またイキそうになりながら、ナナは応えた。
 口内が熱くなり、尚更、彼を咥えたくなる。
 許されていないことを勝手にはできないけれど。

 「……ん、素直だな……」
 色っぽい視線を落とした薔は頬を撫でたゆびのさきでくちびるをなぞり、そのままくぷりと中に滑り込ませた。
 ゆびをしゃぶるのも気持ちがいいナナは、控えめに舌を動かしてちろちろと舐める。

 「咬みたくなったら咬めよ?」
 悪戯っぽく歯にゆびを当てて、薔は促した。
 「んんん…っ、」
 舐めたくても咬みたくはないので、ナナはゆびをしゃぶりながら首を横に振る。
 ヴァンパイアなのに、血液のために喉は渇かない、ただ、彼が欲しくて渇望をしている。


 「…――――俺は咬んで欲しいんだけどな……」
 どこか切なそうに笑い、薔はゆびを抜いていった。
 ゆびさきとくちびるは、名残惜しげな唾液の糸で繋がり、煌めいた。

 「おまえはもっと貪欲に、俺の血を求めてもいいんじゃねぇのか?俺だけ、特別なんだろ?」
 一瞬見せた切なさがまるで嘘だったかのように、彼はどこか厳しく彼女に問いかけた。
 要らないと願っても、この特別な血液は流れることを止めない、貪られることで浄化されたくなるほど忌々しく思うときがある。

 この血を持って生まれてしまったために、彼女と同じ世界にはどうやっても行けない。




 「あ…っ、だって…っ、」
 ナナは夢中になってボトムスをさすりながら、言葉にした。

 「薔が…っ、教えてくれたから…っ、」
 欲しがりな気持ちが沸き上がり、本来の自分が暴き出される。

 「ほんと…のっ、……セックス…っ、」

 すべて、教えてくれたのは彼だった。
 セックスに等しい快楽を与えると言われていた血液では、決して打ち勝てない真の快楽の強さを。
 もう自分の体内は彼の色にすっかり染まっている、血液ではこの上なく潤っている、それなら、彼だけが打ち付けてくれる最強の快楽に何度でも溺れたい。

 ナナは彼を傷つけることなく、めちゃくちゃにされたかった、けれど薔は目に見えない部分を次第に傷つけられてゆく。
 彼は何度でも、無慈悲な現実を突きつけられることになる。




 「……っ、」
 白い柔肌に自分が、咬みつきたくなった、息を呑んだ薔は無性に彼女を傷つけたくなる。
 抑えられないほどの欲求と、狂いそうな自制心が心に雪崩れ込んだ。

 「こら、キスはすんなって……」
 「あ…っ、ごめんなさいい…っ、」
 でも彼はただ、彼女を見下ろし笑ったのだった。

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