※※第345話:Make Love(&Sex aid).49
「ちなみに萌ぴょん……ファーストキスは?」
「え?なんか一樹んが変……いつもか。ファーストキスはたぶん、お父さん。」
「女の子のファーストキスって、だいたいお父さんに奪われてるよね……僕もファーストキスはお父さんらしいけど……」
勇気を出した綾瀬は、ファーストキスについてまで探りを入れてみた。
なんか変だなと思った萌は、いつも変だと自己納得をする。
お父さんがファーストキス泥棒のように表現されているが、綾瀬も奪われているくらいならやはりお父さんはノーカウントで良いんじゃないだろうか。
何てったってお父さんなんだし。
「はあっ!?おかしな空気になった!待ってて、麦茶持ってくるから!」
「え?うん……」
無性に喉が渇いた綾瀬はキッチンへと向かい、いったん部屋に残された萌はちょっと気になった。
一樹んは他にどのようなホラー映画を観ようとしていたのか。
たまたま一発目にエロいのが来てしまったのか、これからもっとエロくなる予定だったのかが気になってしまった。
綾瀬は無意識のうちに後者の予定にしていたわけなのだが、萌はリモコンに手を伸ばした。
「お待たせ〜!」
「うわあっ!」
もう少しでリモコンに触れそうだったとき、トレイに麦茶と手作り豆乳アイスを乗せた綾瀬が戻ってきた。
確認が未遂に終わった萌はなぜか生きた心地がしていない。
ホラー映画より断然、スリリングだった。
「萌ぴょんが来るからたくさんお菓子作ったんだ!マフィンとか葛餅とかわらび餅とかクッキーとか、肉じゃがもシチューもあるから食べてって!」
「ありがとう……肉じゃがとかシチューはお菓子じゃないと思うけど……」
張り切った綾瀬は食べきれないほどのおもてなしをしてくれるようで、アイスだけで萌はお腹がいっぱいになってくる。
それより、肉じゃがだのシチューだのまで作っている時点で、お泊まりに持ち込ませたい気満々ではないのか。
萌に教えてこそいないが、炊きたての白米も用意してある。
ホラー映画大会はエロスにより挫けてしまったため、まったりとお茶を飲むことにした。
「あれ?このアイスあんまり甘くないね、失敗した……」
「そうかな?あたしは美味しいと思うよ?」
「萌ぴょん、ありがとう!」
綾瀬が初めて挑戦した簡単手作りの豆乳アイスも、一緒に味わう。
一樹ん的にはいまいちな味だったが、甘さ控えめで萌ぴょんは美味しいと思った。
いちおう、綾瀬は萌に告白をしてあるのだけど特に何も進展せず、AVはエロの役に立つことなく時間は流れていった。
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