※※第342話:Make Love(&Enslave).207







 ナナはキスを貪り、いつの間にかふたりの呼吸は合わさる。
 薔は舌を絡めながら彼女の腕を撫でて、ネクタイを解いた。
 もっと長く拘束されていると思っていたら、呆気なかった、ナナは自由になった両手でさっそく彼に抱きつく。

 「っんっ、ん…っ、は…ンっ、」
 何度も何度も舌を絡め合わせて、息を吸って、くちびるをくっつけあった。
 腰がビクビクとふるえるナナはキスだけで、イけてしまいそうになる。


 「……キスだけでイくなよ?」
 やわらかくくちびるを放すと、薔は耳もとへキスをしていった。
 「あ…っ、あっあ…っ、でも…っ、すご…っ、感じちゃっ…う…っ、」
 命じられても、彼が与えるからこそ守れないものがあり、ナナは甘ったるい声で訴える。
 「まあ、どうせ濡らしてるだろうしな……」
 薔はなめらかに太股を愛撫して、スカートをたくし上げた。

 そして耳もとからくちびるを放し、彼女を見つめた。

 「蕩けてるだろ?ここ……」
 自ら確認をする前に、彼女自身に確かめさせる。
 こくん、と頷いたナナは脚をもじもじさせて、彼のシャツを掴んだ。

 「見せてくれたら舐めてやってもいい、」
 面白そうに微笑み、ソファの背もたれに片手を突くと薔は少し彼女から離れた。
 恥ずかしいことを否応なしにさせられるナナは、ますます愛液を溢れさしてしまう。

 「どうする?」
 最終確認として、彼はゆびさきでくちびるをなぞった。
 「……み…っ、見せます…っ、」
 愛おしいシャツにゆびを滑らせていったナナは、今度は自分のスカートを掴みそろそろと捲り上げた。

 羞恥心が溢れて、嬉しくなる、彼に見られながら見せてゆくのは至高の快楽だった。
 なるべく落ち着くように息をして、ナナはパンツを脱ぐ。



 「可愛いよ……おまえってほんと健気だな?」
 ふと耳にキスをして、薔はあたまをよしよしした。
 「ん…っ、あ…っ、」
 感じて手元が狂うから、止めて欲しいことは全部止めて欲しくないわけで。
 もっと見られたくて、もっと意地悪をされたくてもっと弄ばれたくて、ナナはエッチな気分を高める。

 びしょ濡れだったパンツは恥じらうようにひっそりと、床に散った。


 「今夜はおまえが俺を、見下ろしていいぞ?」
 背もたれから手を離した薔は、恥ずかしい行為を見せたご褒美か、彼女をソファに座らせたまま舐めてくれるようだった。
 「ダメ…ですっ、そんな…っ、」
 彼を見下ろすと余計に恥ずかしくなり、ナナは困惑することで興奮していた。

 見下ろしている感覚が、微塵もしないのはなぜだろう。

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