※※第342話:Make Love(&Enslave).207
後片付けも済ませて、くつろぎの時間の最中のこと。
ふたりはソファに並んで座って、日本語力検定の勉強をしていたがナナは彼のゆびやシャツに目がいってしまって困っていた。
そんなヒロインの日本語力は出直して来いレベルのものとなっている。
「薔、ちょっと聞いてもいいですか?」
「ん?」
じっと肌を見つめていたナナは我慢できなくなり、聞いてみることにした。
彼女の日本語力のなさを楽しみつつ色々教えてあげていた薔は、きちんと手を止めて話を聞いていた。
「薔はわたしから取り上げたあのノート、ご覧になってたんですか?」
そしてナナはばか正直に、ストレートな質問を投げ掛けてしまった。
「……あ?」
今しがた「ん?」だったのが「あ?」に変わりました、当たり前ですが。
「おまえ……そういう意味で俺をエロいっつってたのか?」
「だ、だって……考えたらすごくエッチで……」
「考えんなよ、ばか、」
エロ親父じみた発言の原因がわかった薔は呆れたが、ナナは照れていた。
こういうときにノートの中の攻めキャラだったら簡単に彼を押し倒して襲えるのだけど、自分はドキドキしているだけで精一杯だった。
「だいたい、夕月さんにも許可もらってねぇだろ。」
「その通りであります、はい……」
薔はいよいよ、勝手に攻めキャラとして使われている夕月の気持ちも配慮するよう彼女を諭した。
眼鏡については書いている張本人の彼氏なので、配慮とかどうでもいいことにする。
「一回、夕月さんにも聞いてみたほうがいいですかね?」
「……いっそおまえが泣き喚くほど、何もせず放置してやろうか?」
「ご勘弁くださいましぃい!」
焦ったナナは聞いてはいけないことを聞いて、薔は彼女なら耐えきれない放置プレイを提案した。
泣き喚くくらい何もしてもらえないのは考えただけで恐ろしく、ナナは素直に謝る。
「もう泣きそうになってんじゃねぇか……」
隠せない反応を愉しませてもらうと、薔はくすくすと笑って彼女を抱き寄せた。
いきなりくっついた体温にドキッとしたナナは、耳もとで甘く囁かれる。
「今夜のプレイは決まりだな?」
甘いのに、どこか鋭利な囁きだった。
ナナは自らの反応で、良策を彼に提供していた。
耳をなぞった吐息も、浸透する声もセクシーで、背筋がぞくぞくした。
薔はゆっくりと彼女の手首にゆびを這わせて、ネクタイを解いた。
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