※※第340話:Make Love(&Sex aid).47








 真依が後片付けをしていると、屡薇は少し酔いが回ったのかソファでうたた寝をしていた。

 「え?何様?」
 亭主関白でもないくせに生意気な……と思いながらも、寝顔が可愛くて憎めなかったので溜め息をついた真依は床に散乱している空き缶を集めようとした。

 すると、その腕がいきなり引っ張られた。



 「うわっ……!」
 びっくりした真依は倒れることもなく、うたた寝をしている屡薇にぎゅっと抱きしめられる。
 まさに、抱き枕状態。
 彼がうたた寝をしていなかったら、すかさず引き剥がすやつである(真依の言い分)。

 「真依さん……ふわっふわ……」
 屡薇はむにゃむにゃと寝言を告げると、彼女を抱っこしたまま気持ちよさそうに眠りだした。
 ふわっふわというのは、抱き心地の良さを精一杯に表現している。

 「ふわっふわって……何が?」
 表現がよくわからなかった真依は、はてなマークを浮かべた。
 自分はふわっふわの髪型でもないし、ふわっふわの生地の服を着ているわけでもない。
 もしかして、マシュマロみたいにふわっふわに感じるくらいに、太ったのかと逆に不安になってくる。

 がしかしいかんせん、身動きが取れない。




 「ちょっと……いい加減離して欲しい……」
 と、真依は動こうとしたものの、できなかった。
 彼を起こしてしまいそうで、気が引けた。
 本来ならこんな時間にうたた寝をしたら眠れなくなってしまいそうなので、起こしたほうがいいのだろうけど。

 いくらツンツンして見せても、長年の想いが彼を甘やかす、それが彼をダメにしているのなら改めるべきだが、ふたりの心地を良くして棘を緩和してくれるものでもあるのでこれからも何だかんだで甘やかすのだろう。

 「んー……」
 彼女を抱きしめた体勢で寝返りを打とうとした屡薇は、ふわっふわの気持ちよさを再度実感した。
 「……あれ?」
 そしてぼんやり目を覚ますと、寝心地が良かった理由がわかったようだ。

 「え〜……真依さんたら……俺に甘えてくるなんて珍しいね……」
 「な……っ!?何、自分に都合よく解釈してんの!?」
 むぎゅっと強く抱きしめると、屡薇は持ち前のポジティブ精神で彼女から抱きついてきたのだと解釈し喜ぶ。
 自分から抱き寄せておいてそれはないでしょ!?と言い返したくても今はできず、真依はドキドキが止まらなかった。
 細く見えて筋肉のしっかりついた腕は、寝惚けていても簡単には離れない。

 真依が離れようとすればするほど、屡薇はかっちりと彼女をホールドした。

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