※※第340話:Make Love(&Sex aid).47








 「うまっ!やっぱ真依さんが作るカレーは最強だね!」
 屡薇は酔ってもおらず、本当に美味しそうに夏野菜カレーを頬張った。

 「……誰のが最強じゃないの?」
 「俺。」
 「ああ、そう……」
 他の女と比べられているようで一瞬ジェラシーを感じた真依だったが、彼のと比べられていたのだと知り納得する。
 そもそも屡薇のカレーと比べたら誰でも最強になれそうだが、いつも美味しそうに食べて美味しいと言ってくれるので良しとする。

 「屡薇くんも自炊できるようになったら?いつまでもぐちゃぐちゃなご飯じゃ健康に悪いじゃん。」
 自分が来られないときは自炊ができるくらい料理が上達してくれれば安心できると考え、真依は彼に自炊を勧めた。
 料理なら基本からしっかり、教えてあげることができるし。

 「そんな必要ねぇじゃん。俺、真依さんと結婚するもん。」
 すると、サラダを食べていた屡薇はサラッとプロポーズっぽいことを返してきた。
 真依は思わず、噎せそうになる。


 「聞いてないけど!」
 「じつは一回聞いてるけどギャグと捉えられてノーカウントになってる。」
 「やだあ!このひと恥ずかしい!」
 「そりゃ、俺だし。」
 真っ赤になった真依はスプーンを置き、あたふたした。
 一度ノーカウントにされている屡薇は案外、落ち着いている。

 「地獄の果てまで俺と一緒に堕ちていこう、真依さん。」
 「何で普通のプロポーズできないの!?」
 「アーティストだもんで。」
 こんな、カレーを食べている最中にプロポーズなんて、本気かどうかわからなくて真依は困惑する。
 屡薇は己の歌詞っぽくプロポーズの言葉を考えてあったが、普通のプロポーズ(薔と練習したようなやつ)で彼女は来られたいようだ。


 「てかちょっと待って。タイミング間違えた感が半端ねえ。」
 「だよね!そうだよね!?」
 しかしながら屡薇も気づいた、もう少しロマンティックでデンジャラスでサプライズなシチュエーションでプロポーズはしたいと。
 アルコールが一滴も入っていない状態であることも、かなり重要だと。

 胸を撫で下ろした真依は今後も、サプライズでプロポーズには身構えていたほうがいいのか忘れてくれたほうがサプライズには好都合なのか。



 絶妙な空気が流れていたが、真依は月曜日は仕事が休みなので今夜は彼の部屋にお泊まりとなっていた。
 今は呑気にカレーを食べているけれど、ベッドでは自分が餌食になってしまうのだ。

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