※※第337話:Make Love(&Sex aid).46
「綾瀬くんさ、警察に届け出なくて大丈夫?」
未だに詐欺を疑っている真依は、綾瀬を心配していた。
結婚詐欺や投資詐欺など、選り取りみどりでなくていいものも選り取りみどりな世の中だ。
だったら、誰一人として転落の人生を送らないよう周りが気にかける必要もある。
「高良先輩って、心配性なんですね。屡薇は喜ぶんじゃないですか?」
「いや、屡薇くんのことはそんな……心配してあげるほどのものじゃないし……」
先輩の新たな一面を見られた綾瀬は感心し、真依は素直に照れた。
心配してあげるほどのものじゃないと言っている相手は彼氏なので、言っている内容は極端に素直ではない。
「詐欺の心配はありませんよ、萌ぴょんは健全な高校生です。」
「えっ!?あの子高校生っぽいと思ってたら、ほんとに高校生だったの!?てかあの子が、悪女なの!?」
先輩を安心させるためにも、綾瀬は不気味に笑った。
美容院を訪れたこともあるあの萌ぴょんのことを話していたのかと、真依は驚愕する。
とてもではないが、悪女には見えない。
「悪女ではありませんよ?」
「さっき悪女だと表現したのは綾瀬くんだよ!」
「そうでしたっけ?」
綾瀬は自分で無神経だの残酷だの挙げ句の果てには悪女だのと表現しておきながら、身に覚えがないようでキョトンとした。
イラッときた真依はこやつを変な髪型にしてやりたくなる。
「とにかく、萌ぴょんは悪女ではありません、だって薔さまと同じ学校の生徒さんですよ?」
不気味な笑みを強めた綾瀬は、今まで真依たちは知らずにいた事実を明かした。
「え――――――っ!?」
びっくり仰天した真依はただちに、大先輩に報告することにした。
薔と同じ学校なら無論、こけしちゃんとも同じ学校だからだ。
なんだか面白いことが始まりそうな予感がする。
この報告を受けたこけしちゃんはまず、本名が萌だから萌ぴょんと呼んでいるのか綾瀬が萌えるから萌ぴょんというあだ名をつけているのか、悩むこととなった。
萌という名前はそういう解釈ができなくもない、なぜならこけしちゃん自身が萌えには弱いから。
こうして、綾瀬の想い人探しもひっそりと、行われることとなった。
生徒については詳しいゾーラ先生も彼女と一緒になって探す任務を託されたが、この時点ではまだ、綾瀬とあの綾瀬先生が兄弟だとは気づいていなかった。
同じ名字なことには気づいたので、今日はやたらと綾瀬先生にしつこく追いかけられたなと思い出した醐留権はちょっと、気味が悪くて身震いした。
さすがは兄弟、お兄ちゃんもホラーの気質を無自覚に持ち合わせてはいるようである。
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