※※第337話:Make Love(&Sex aid).46








 バスケ部に先を越された演劇部員たちは、廊下で項垂れていた。
 いっそのこと助っ人という形ではなく本格的に演劇部員に誘おうとやって来たら、バスケ部に全部持っていかれてしまった。
 掛け持ちで参加していただけるだけでもありがたいのだけど、お許しが得られるかどうかは定かではないため、まずは彼女のほうを味方につける必要があった。


 しかしながらナナは一人で帰らせるわけにもいかないので、バスケ部というか薔の専属マネージャーにされること間違いなしだった。
 近づけるか否か、非常に困難なミッションである。
 むしろバスケ部で実際に活動をしていた期間より演劇部で活動していた期間のほうが長いため、バスケ部への対抗心を燃え上がらせた。


 「あまりのショックに部長も、笑わなかったですね……」
 「うん……」
 演劇部引退の前にいいものを見せてもらおうとついてきた和湖部長はぽかんとしたままで、作戦を練るべく演劇部はすごすごとそれぞれの教室に戻った。
 顧問の横科先生にこの事態は、いっさい知らされていなかった。












 ――――――――…

 バスケ部の部員たちには心の準備の時間が与えられ、この日は部活に参加することなく帰宅となった。
 バスケ部は現在、入部は受け付けているが退部は受け付けていないという、そんじょそこらにありそうなブラック体制となっている。
 と言うのはあくまで冗談で、皆影の支配者さまからの指導は受けてみたいので退部したいと申し出る者は誰もいなかった。
 マゾの気質を備え持っていそうで、ある程度の成長は見込めるのかもしれない。




 「マネージャーって、何をすればいいんですか?」
 「俺の言う事だけを聞いて、俺だけを見てればいい。」
 「ええっ!?いつもと同じことをしているだけでいいんですか!?びっくりです!」
 ナナはやはりマネージャーにされたようで、仕事内容を尋ねたところ要するに“専属”の意味として薔は諭した。
 驚いたナナはばか正直に、いつもと同じことをしていればいいのだと解釈する。

 レモンのはちみつ漬けとかそういう少女漫画っぽいのは、やらなくてもいいらしい。
 ナナがやった場合、どのような形態のものが出来上がるのか気にはなるが、危ないので本気で止めたほうがいいな。




 「では、お仕置きにしますか?」
 「おまえから言うなよ……」
 待ちきれなかった彼女は自らお仕置きの話を持ちかけて、やや呆れた薔はネクタイを緩めた。

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