※※第337話:Make Love(&Sex aid).46
休み時間に、ちらり、と上目遣いで彼の様子を窺ってみる。
ナナは本日はめでたく、お仕置きが確定している。
「可愛いから止めろ。」
「ええっ!?」
ちょっと刺激された薔は彼女を制止させ、驚いたナナは背筋が伸びた。
ああ見えてほんとうの攻めは……の妄想を、周りはまだ引きずっている、特にこけしちゃんが。
“お仕置きは彼女がするのかされるのか”も、正直よくよくわかるようなよくわからないような。
「あのぅ……お手柔らかにお願いすることは」
「不可能だな。」
いちおうナナはお手柔らかにされてしまうのか確かめようとして、途中で遮られきっぱりと返された。
お手柔らかにお願いするのが不可能だとわかると、否応なしにときめいてしまう自分がいる。
「ちょっと通して!通して、お願いだから!」
その頃、ギャラリーを掻き分けて崎多川先生(体育の先生)が教室に入ってきた。
最初1組に行った先生は迂闊だったと気づき、お目当てのおかたの彼女がいる教室までわざわざ足を運んでいた。
「バスケ部の顧問が伺ったぞ、影の支配者さま!」
崎多川先生はギャラリーに揉まれたおかげで足がふらつき、薔の隣に跪く形となった。
こういうときに「あ?」とか返してもらえないのは逆に不安になるが、先生はなりふり構っていられなかった。
「今ね、バスケ部やたらと怪我人が多くて弱小なの!だからもうサドでもドSでもいいから、暮中、バスケ部に戻ってきてくれ!」
崎多川先生が土下座をすると、辺りには熱血な雰囲気がほんの少しだけ流れた。
影の支配者さまはバスケ部に戻るも何も、レベルが違いすぎて周りが恐れおののくので影の支配者というポジションでお願いされているだけですが。
(※ちなみに、ドSのSはサドのSです。)
「……サド?」
「あっ、違う!優しいよ!?暮中は優しい!人を見下ろすのが天才的に上手いけど、それも優しさだと思えばとんでもなく優しい!」
サドと言われたのが気に入らなかったらしく薔は若干不機嫌になったので、崎多川先生は慌ててご機嫌を取った。
バスケ部参加ですか!?の期待が高まりすぎたギャラリーは、こぞってバスケ部のマネージャーになりたくなる。
「そうなんですよ、先生!薔は優しいんです!よくわかってらっしゃる!」
お仕置きをされる予定のナナは彼の優しさを力説し、理解力のある教師に感心した。
「薔っ、出てあげてください!」
そして彼を説得した。
「勿論そのつもりだ。」
「ありがとうございます!」
「いいの!?良かった、やっぱり優しいじゃん!」
彼女のお願いが可愛かったし自分のレベルについて来られるよう指導するのも面白そうだしで、薔はあっさり了承した、純粋にバスケが好きなこともあるし。
崎多川先生も歓喜に満ちた、怪我人がますます増えないことを祈る。
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