※※第335話:Make Love(&Inversion).203







 「ネクタイは外せなかったのか?それとも……あとで首でも絞めるつもりだったか?」
 自分の状態を確認すると、薔は妖しく微笑んだ。
 どちらでもないナナは「単に残しておきたかったからです」とも答えられず、視線に心臓を射抜かれる。

 「冗談だよ……」
 はだけたシャツはそのままに、手を伸ばした彼は彼女の肩を抱きあっという間に強引にソファへと押し倒した。

 「ひゃっ…っ!?」
 不意討ちを食らったナナは髪を撫でられ、くちびるを塞ぐようにキスを落とされる。

 「っん…は、ぁん…っ、」
 くちびるを抉じ開けられ、するりと舌を入れられた。
 遊ぶみたいに絡む舌同士が、淫らな音を響かせる。


 「……乳首がじんじんしてんのは、おまえのせいだろ?」
 そっと舌を抜いた薔はくちびるが触れあう距離で確かめ、ナナの片手を掴んだ。
 再び舌を入れてくちびるを塞ぐと、彼は彼女の手を自ら胸に当てさせる。

 「んん…っ、」
 また、味わえているなめらかな触り心地にも蕩けて、ナナはゆびで乳首を摘まんでみた。
 「……あ……」
 撫でていた髪にゆびを絡め、薔はキスの合間に甘やかな声を上げる。

 吐息が口内まで愛撫をして、ナナはぞくぞくした。
 彼の胸を弄くりながら、ディープキスを貪る。

 シャツもネクタイもますます乱れて、肌が露になり、胸に当てられた手には彼の手が重ねられていた。
 悪戯をしながら、悪戯を仕返されているような罪深い感覚に魅了される。



 ちゅっ…じゅぷっ…

 くちびるは何度も触れあい、舌は絡みあった。

 「んっ……あ……」
 キスの最中時折、薔は感じて声を上げてくれる。
 そのたびに吐息はえもいわれぬ愛撫になって、体内まで浸透した。

 「んっっ!」
 キュッ……と乳首を摘まんだのはナナのほうで、先にイけてしまったのもナナのほうだった。
 パンツはびしょびしょに濡れて、秘部を恥ずかしくさせている。

 息を乱してくちびるを放した薔は胸に当てさせている手を強く押さえつけ、躰を起こした。
 彼のゆびが自分のゆびに食い込み、頼もしい体温を感じている。

 「血は?……欲しくねぇのか?」
 薔は乳首をゆびでグリグリさせて、問いかけた。
 零れ落ちる吐息がセクシーで、ナナの背筋は甘く痺れた。

 「ん…っ、」
 必死で頷く彼女は、血は欲しくなくても乳首を甘噛みはしたいと思っている。
 自分を独占されているのなら彼を独占しているのも自分だった、この美しい躰も全て自分だけのものなのだ。

 「そのくせして何度も乳首噛んだよな?」
 悪戯っぽく笑うと、薔はキスを続けていった。
 これにて、彼はじつは起きていた事実が判明した。

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