※※第335話:Make Love(&Inversion).203







 「あ……ナナ……」
 薔は譫言みたいに甘い声を上げた。
 起きたのかと思い上目遣いに彼を見たナナは、まだ寝ていることを確信する。

 これは、もしかしたら端から彼は起きているのかもしれない。


 「はっ…ン、ん…っ、」
 舌を伸ばし乳首を舐め回すと、思いきって甘噛みもした。
 はむはむと噛んで、歯で優しく引っ張る。

 すぐに咬める行為に及んでいても、咬んで流血させたいとは思わないのが不思議なくらい、何度も甘噛みをした。

 ザザえもんを観ていたことはすっかり忘れているが、自動的に次の作品が再生されている。




 エッチなことに夢中になるナナは両手で彼のシャツを掴み、無理矢理にはだけさせてもうかたほうにも吸いついた。
 甘噛みした乳首は硬くなり、濡れて艶めいている。

 シャツを引っ張るとネクタイも引っ張られ、艶かしく滑り落ちた。

 「…――――っん、ぁ……あっ……」
 両方を弄くられて我慢がならなくなったのか、薔は微かに身を捩った。
 なんか無性に危ない気がしたナナはくちびるを放し、彼の様子を窺った。

 放されたくちびると乳首を細い唾液が一瞬繋げて、とろりと途切れて胸を濡らす。



 「ん……?」
 ナナがドキドキで見下ろしていると、薔は目を覚ました。
 ほんとうは寝た振りをしていたからこその、見図られたタイミングなのかもしれないが、そこは彼のみぞ知るである。


 「悪りぃ……寝てた……」
 「い、いえ……」
 膝枕からどのような経緯でこの体勢になったのか問い詰めることもなく、乱れていた髪をかき上げた薔はどこか甘ったるい声をしてはいる。
 ナナはちゃっかりシャツから両手を離したのだけど、整えることは不可能だった。

 「可笑しな夢、見てたな……」
 寝起きの雰囲気でぼーっとしている彼は自分がどのような有り様になっているのかあたかも気づいていない様子で、夢の内容を告げたのだった。

 「いきなりヤンデレになったおまえに薬盛られて、監禁されて……拘束されて、すげえ焦らされたりめちゃくちゃに腰振られたりして、最終的に何人いんのかわかんねぇほど子供が産まれてたぞ……」

 と。
 どういう過激な夢ですか。




 「夢の中のわたし、酷くないですか!?」
 「いや、そんなん通り越してひたすらエロかった……」
 「えええええ!?」
 ナナはヤンデレがどういったものなのかわからないなりに驚き、彼女がヤンデレならまんざらでもなかったのか薔は気にしていないようだ。

 それにしても、

 「つうか、俺は何で脱いでんだ?」
 「わたしが脱がしたからですね!」
 「まあ、だろうな……」

 シャツの件は見過ごされなかった。
 ザザえもんはさりげなく、リモコンで停止され消されたのだった。

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