※※第335話:Make Love(&Inversion).203
そのうちにナナは珍しく、彼を襲えそうな名案に辿り着いた。
じつは演劇部ともうひとつ、とある部活から参加をお願いされることになるのだけどこの日は放課後に教室でエッチをすることもなく帰宅していた。
ナナは執念深くよくよく考えたおかげで、彼はザザえもんを一緒に観ているときうたた寝をしてしまうことが多いと、気づくことができた。
ザザえもんが暇だとかそういうわけではなく、雰囲気が甘いから甘えたくなるのだと解釈してください。
「わたし、薔と一緒にザザえもんが観たいです!」
緊張を極力隠し甘えた感じで、ナナはお願いをしてみた。
「おまえはほんと、でこぼこが好きだな?」
そら優しく微笑むと、可愛かったのでお願いを聞き入れるべく薔は準備の前に着替えようとした。
「制服脱いじゃダメですよわたしの大好きな薔ったら――――――――――っ!」
あーっ、ぁーっ……(※お楽しみはうたた寝の後に、なエコー)
必死で着替えを引き留めたナナは彼のご機嫌も取り戻すべく、かなり恥ずかしいことを叫んでいる。
「……おい、びっくりさせんなよ……」
彼女の勢いがまた可愛くて逆に襲いたくなった薔だが、着替えは止めてくれた。
ほっとしたナナは己の羞恥に気づき、たちまち真っ赤となる。
「どれがいい?」
「はい……?」
彼女が恥じらっていると、薔はネット配信のをずらりと検索してくれた。
正直ナナは彼がうたた寝をしてくれるならどの作品でも良かったのだけど、わざわざ選り取りみどりにしてくださったので気合いを入れて吟味する。
でも早く観て早くそのときが来て欲しかったこともあり、一番多い回数観ているやつに落ち着いた。
かくして、ナナも制服姿のまま、ソファでお馴染み膝枕のザザえもん鑑賞が始まったのだった。
――――――…
「うう…っ、う…っ、」
何度も観ているシーンで感動して、ナナは泣いていた。
泣いてはいても膝枕をしてあげている彼が可愛くて、否応なしに彼を気に掛けている。
「やっぱり何度観ても泣けますよね?薔っ……!」
涙を拭い、ナナは声を掛けた。
彼が同じシーンで泣いているのを一度も見てはいなかったが、そこはやはりムードである。
しかし返事はなく、薔は彼女の目論見通り、静かにうたた寝をしてしまっていた。
居心地が最高だからに、他ならない、きっと。
(寝てらっしゃる――――――……っ!)
心で歓喜の雄叫びを上げたナナは、心で感動の万歳三唱をした。
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