※※第335話:Make Love(&Inversion).203
教室まで会いに来てくれた彼のシャツを、ナナはじーっと見ていた。
ネクタイをもうちょっと緩めてシャツのボタンをもうちょっと外して欲しくなる、自分だけが見ているところで。
「さっきからずっとどこ見てんだ?」
「はわっ!綺麗なお胸がかっこいいお声で喋りました!びっくりした!」
「あ?」
話していても視線が合わない薔は若干不機嫌で、ばか正直に驚いたナナはまだ胸元を見ている。
攻めたいのかな……?と気になる周りは、自分たちも見たくなるのでできることならその色気は控えていただきたいと思っているが色気は控えようとして控えるものではない。
生まれつき滲み出ているものなので、やられないようにするしか手立てはない。
「あの……薔のネクタイとシャツは、特注なんですか?薔だけどう考えてもエッチな作りになってますよね?」
「そう見えてるのはおまえだけだ。」
「えええ!?絶対薔だけエッチですよーっ!」
ナナは彼のネクタイやシャツは特別なのではないかと探りを入れ、胸を見ているのだと薔は気づいていながらも気づいていない振りをしていた。
周りはナナの言葉に心で激しく賛同している。
「ああ見えてナナちゃぁん、攻めだからねぇぇ……」
親友に穢れなき誇りを持つこけしちゃんの瞳は輝いていた、夏休み中にラブホで隣り合わせたときもナナが攻めて薔をあんあん言わせていたのかと俄然萌えてくる。
今も乳首を狙っているらしいので、もうこの場で悪戯とか仕掛けて欲しいくらいだった。
ナナはこの件については、是非ともお仕置きされるべきだと思われる。
「ところで薔っ、さっき誰かが言ってたんですけど、この学校って地下が三百階まであるらしいですよ?」
「そんだけあったらおまえは色んなとこで、俺の胸を狙えるな?」
「狙ってもいいんですか!?嬉しい!」
噂とはどうなるかわからないもので、さっそく尾鰭がつけられナナの耳にも入っていた。
公認で胸を狙ってもいいのなら、もっと凝視させていただきたくなる。
周りは薄々気づいていた、ヒロインは普段から攻めているのならわざわざ親友にそのことを話したりはしないだろうと。
攻め方がよくわからないから屈強な腐女子に相談したのだろうと察しはついたものの、なんかドキドキしてくせになりそうなので真っ当なことは考えないようにしていた。
経緯を知らないギャラリーは、ネクタイやシャツのエロさに早々から限界だった。
特注だと言われたら納得できるものがあり、製造元に感謝の意を皆で述べたいほどだった。
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