※※第334話:Make Love(&Comfort).202








 見回りにはまだ及ばない時間に、廊下を歩いてきたのは綾瀬先生だった。
 どうやら未だに数学準備室が見つからないらしい(ナナも保健室を見つけられなかった学校なので無理もない)。




 (やだ…っ、見つかっちゃう…っ、)
 スリリングな状況に、ナナは純粋に興奮していた。
 それはゆびを入れている薔にもきちんと、伝わっていた。

 シャツを強く掴んだナナは素早く、ゆびを抜かれパンツをずらされる。
 穿いたままだったスカートがクッション代わりとなってくれているなか、彼女は脚を大胆に広げられた。

 「手ぇ離せよ、挿れらんねぇだろ?」
 耳打ちをした薔はさらにネクタイをゆるめ、シャツのボタンを少し外す。
 「っん…っ、……んっ、」
 気持ちよさと恍惚にぼーっとしてしまっていたナナは、言われた通りに手を離した。
 先生が廊下を通り過ぎようとしているのに、ベルトへ手を掛けた彼は露にする。

 ナナの心は危うさと渇望のはざまにいたが、欲しがる気持ちは無論全てを凌駕していた。
 脚を持ち上げられた彼女は彼に腕を絡めて、膣をひくひくとうねらせる。




 微笑みかけた薔はキスをすると、当てがい一気に挿入した。








 ズッッ――――――…!

 たくさん濡れて潤滑の良くなった交接器に、奥まで嵌められる。

 「……っっ…うっ!」
 挿れられただけで絶頂となったナナは彼にしがみついてイキ声を嚥下されていたのだけど、脚を跳ねさせた弾みでかたほうの上履きが脱げて床に落としてしまった。



 というわけで、急に物音が聞こえた綾瀬先生は廊下で思い切りビクッとなった。
 「え?何?この学校、出るの?」
 かなり怯えて辺りを見回す。
 幽霊は出ないが、強ち間違った解釈ではない。

 「えっ、え?本気で?出るの……!?」
 じつはお兄ちゃんは、弟とは違いホラーやスプラッタの類いは大の苦手だった。
 弟が大好きなので克服してみようかと意気込んだことも一度あったものの、無理なものは無理だった。
 こんなにもお兄ちゃんは苦手なのに弟は大好きというところが余計に腹が立って、大嫌いになっていた。


 「一樹は……喜びそうだな……」
 LINEはブロックされているしメールもアドレス拒否されているしショートメールも拒否されたし、電話も拒否されているお兄ちゃんはたぶんアパートまで押し掛けるのだろうが、とにかく弟に報告しようと思い後ろ歩きでその場をあとにした。
 ポジティブ精神で前途洋々だと思い込んでいた綾瀬兄は、このとき初めて、そうでもないのかもしれないと気づいたのだった。

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