※※第334話:Make Love(&Comfort).202
醐留権先生は二学期早々、憂鬱だった。
愛する彼女と、ほとんど毎日顔を合わせようとすれば合わせられるいかがわしき生活が始まったのだけど、いかんせん、後輩が鬱陶しい人物すぎた。
あれだけ鬱陶しい兄がいたら弟は毛嫌いしていると目に見えてわかる、否応なしに同情してしまう、その弟とじつは知り合いだったと気づくのはもう少しだけ先のお話。
(なぜ私の周りにはまともな教師がいないんだ?)
と、ゾーラ先生は疑問にも思ったりした。
そもそも校長先生からしてまともとは言い難いため、まともである自分はこの学校にとって大変貴重な存在なのではないかと自尊感情を高める。
たぶん、と言うか確実に、まともな教師は生徒とセックスしないと思われる。
でも仮にこけしちゃんとはしないとなってもこけしちゃんの脳内では生徒薔を攻めまくっているのだし、いずれにせよいかがわしい教師であることに変わりはない、ややこしい。
醐留権先生は今はあまり余裕がなく気づいていないが、愛する彼女であるこけしちゃんはかなり、綾瀬兄を気に入っている。
念願の、弟大好きなイケメンお兄ちゃんが登場したからである。
ゾーラ先生の家は誠に残念ながら、あっちの世界での妄想にうってつけのお兄ちゃんではなかったので、弟×兄としては却下されてしまった。
「あっ、醐留権先生、いらっしゃった!朝の話の続きをどうしても伺いたい!」
綾瀬先生はわりと執念深く、醐留権先生を探していた。
見つかる度に醐留権はスマートな身のこなしでどこかへ行ってしまっているが、無下に扱い続けているとそのうちこけしちゃんに怒られそうではある。
「またいなくなった……!こうなったら一樹に直接聞いてみるしかない!」
ずっとモヤモヤが止まらずにいた綾瀬兄は我慢がならず、弟にショートメールを送ってみることにした。
LINEを送らない理由はついにブロックされたからで、メールを送らない理由はアドレス拒否をされているからです。
ここまで拒絶されていても、好きか嫌いか確かめるべくショートメールを送るほど、お兄ちゃんは執着質であり粘着質であり弟にかまってほしいのです。
“お兄ちゃんとゴキブリどっちが好き?お兄ちゃんに決まってるよな?”
という、半ば誘導尋問のようなショートメールに対して、返信はすぐに送られてきた。
迷わず“ゴキブリ”とだけ送った一樹んは速攻で、ショートメールの受信を拒否したのだった。
醐留権の言ったことに何も間違いはなく、茫然とした綾瀬兄はますます、醐留権先生を探して詳しく理由を聞きたくなった。
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