※※第333話:Make Love(&Sex aid).45








 その日、まだ仕事中だった屡薇のもとに数通のメッセージが送られてきた。

 仕事中と言えども運よく休憩中で、真依とのかたい運命を勝手に感じた屡薇はトーク画面を開く。

 “朗報だよ”の後に“綾瀬くんが今夜は彼女を部屋に泊めているみたい”と送られてきて、二通目では送信と共に向こうに既読がつく形となった。
 へえ、と思っていると、“これでヤキモチ妬かなくてよくなったね”と、半ばからかっているような内容まで送られてきた。


 え、真依さんは俺にヤキモチ妬いて欲しくねぇの?と思うより早く、屡薇は気になったことがあり速攻で返事をした。

 “てか何で知ってんの?”

 ヤキモチを妬かなくてよくなったはずが、さっそくヤキモチである。



 “報告があったからだよ”
 “は?わざわざそんなん報告してくる必要ある?”
 “屡薇くんちょっとしつこい”
 “いや、地獄の涯てまで問い詰めるよ”
 と、結局はLINEでイチャイチャしていた。
 屡薇はどうしてもわざわざ報告してきた綾瀬の心中が解せず、単に自慢したかっただけだと思っている真依はふたりして祝福してあげたいのになかなかそこまで辿り着かない、地獄の涯てまでももちろん辿り着かない。
 でも幸せなのでしばし、LINEを楽しんでいた。













 ――――――――…

 真依は彼氏に一発目のメッセージを送った後、少し時間を置いてもったいぶりたかったこともあり大先輩にも綾瀬のことは報告していた。
 これで皆でデートの際に誘えそうだという意味合いで報告をしておいたのだけど、こけしちゃんは内容を見た直後ちょぉっと複雑な心境になった。

 「彼女できるのぉ、早くないぃ?どこの馬の骨ぇぇ?」

 と、綾瀬に早くも彼女ができてしまったことがいたたまれなくもあった(実際はまだできていないけど)。
 妄想で上手い具合に活躍させることができるオネエっぽい部分もあるキャラこと綾瀬だったので、あっさり彼女ができてしまうと物足りなく感じた。

 そんなこけしちゃんは、馬の骨が学校の後輩であることと、じつは綾瀬には弟大好きなイケメンお兄ちゃんがいることはまだ知らない。

 「えぇぇ……とりあえずぅ、女かどうかもよくわからないからぁぁ、相手は男にしとこうぅ……」
 彼女、と表現されているにも拘わらず、こけしちゃんは己に都合のよい解釈を選んだ。
 綾瀬は今、恋人の男と一夜を過ごしているのだと考えると、ものすごくときめいた。
 イメージでは自分の好みで何となく、眼鏡で長身の男前と付き合っていることにした、そのイメージだったらすんなり事が運んでしまう部分があったので。

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