※※第327話:Make Love(&Cuddle).198








 ナナは結局、スイカをあーんしてもらい大人しく味わっていた。
 スイカは変わらないのに、甘さは断然濃くなったような心地がする。


 「甘そうで可愛いな……」
 薔はふっと笑うと、不意討ちで優しく彼女にキスをした。
 甘いところへ持ってきて甘いキスをされ、ナナはうっとりと息を漏らす。

 「薔の唇は、あったかいです……」
 そして少し、声で甘えた。
 スイカがひんやりしているから、くちびるもひんやりしていた、なのに彼のくちびるはあったかくて気持ちがいい。
 「もっとキスして欲しい?」
 スイカを皿に戻した彼はゆびの背で頬を撫でて、確かめた。
 ふたりの間にはまだ、甘やかな匂いが漂っている。


 こくんとナナは頷き、悪戯っぽく微笑んだ薔は再びくちづけた。
 一度のキスで火照りだしたくちびるが、やわらかく弾む。


 「…――――おまえの唇もあったかいぞ?俺と同じくらい……」
 ほんの少しくちびるを放して、薔は囁いた。
 キスで同じ熱を帯びていることは、彼にももちろん伝わっていた。

 「ん……」
 囁きのあとすぐにくちびるは重なり、時間を掛けて触れあわせる。
 リップ音はまだ立てずに、柔和な感触を確かめあった。

 舌を絡めることなく、くちびるが放される。

 「もっと…っ、してください…っ……」
 でもナナは離れたくなくて、素直にせがんだ。
 引き止めたい両手が、彼の服をきゅっと掴んでいる。
 「欲張りだな?」
 面白そうな笑みを浮かべた薔は彼女を抱き寄せて、キスを再開した。
 長くて、濃厚なキスを。


 吐息を漏らそうとした隙にくちびるは抉じ開けられ、舌先に舌先が絡まる。
 遊ばせるように絡ませて、少しずつ音を立ててゆく。

 キスは最高に甘かった、スイカの味がしていなくてもキスはいつだって甘い。
 ゆっくりと頬を愛撫されたナナはぞくぞくして、舌を吸われてまたぞくぞくする。

 淫欲をどんどん誘い出される。


 …ちゅっ…ッ…ちゅぷっ……

 「っん…っ、ん…っ、」
 くちびるへ互いに吸いつき、呼吸を合わせて舌を重ねた。
 上下に動かして、艶かしく熱を欲しがる。
 薔は時折悪戯っぽく上顎や歯齦に舌を滑らせて、刺激した。
 それらはどれも絶妙で、感じるナナは濡れてゆく。

 軋るソファに座って、抱きあい、次第にディープになったキスを貪った。
 なめらかに太股を撫でられたナナはさらにぞくぞくしてしまい、大胆な心持ちを抱えることになった。

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