※※第320話:Make Love(&Sex aid).42
「ふぅぅ……これで一仕事終えたぁぁ……」
あとはナナちゃぁんに任せれば大丈夫ぅぅと確信しているこけしちゃんは、安心してミルクティーを飲んだ。
彼女の勇姿に醐留権は惚れ惚れしている、生徒が「絶対服従」とか口走ってもきっとBLの影響なので特に注意はしない。
「も、もしかして三咲さん……監禁はされてな」
「羚亜くん!それ以上言ったら旅館の露天風呂でビキニ着させるよ!?」
「何で旅館でビキニ!?」
監禁疑惑の発端者である羚亜は「監禁はされてないんじゃないのかな」という真実に気づこうとしたが、目つきがエロ親父の彼女に制止された。
聞いていた男性陣は、問答無用なエロ親父の発想に感心している。
「え?てことはゴルちゃん、今回は旅館なの?」
「その通りだ。」
バカップルのやりとりで行き先を知ったほろ酔いの屡薇は醐留権に確認し、露天風呂でビキニ姿のこけしちゃんを想像しながらゾーラ先生はさらりと返す。
ビキニはもちろん持参しなければならないが、着させたら上下別に脱がす必要があり和洋折衷の独特のエロさが堪らない。
「やばい……真依さんの浴衣姿、可愛いしエロいし最高……」
「うるさい!この酔っ払い!」
まじまじと見つめられた真依は赤面して、彼氏の口に伝票刺しをつめてやりたくなった。
このカップルも旅館で異論はなく、屡薇は是非とも彼女をビッチにさせて堪能したいと目論み始める。
「はぁぁ、今回もたぶんぅ、男だらけで男湯はお預けだなぁぁ……」
「………………。」
こけしちゃんは残念そうに溜め息をつき、一体何を目的としているのかがわからなくなってきたゾーラ先生は彼女のメンタルの屈強さには惚れ直していた。
とは言え、カップルで行くのに男だらけで男湯は勘弁してもらいたい、憂さ晴らしにBLを持参して行ってもいいので。
こんなふうに前日に旅行が決定となっても、醐留権はとっくに権力を利用してグループと懇意な間柄の高級老舗旅館を貸切状態にしてあった。
一度口出しされて懲りたため、登紀子叔母さんのところの、ではない。
「……いいなあ。」
ファミレスの隅っこの席にて、楽しそうなカップルたちを眺めている男がいた。
仕事帰りにコーヒーでも飲もうと立ち寄っただけで、誰かをストーカーしていたわけではない。
「僕も彼女欲しいよお……ていうか恋する相手が欲しい……」
しみじみと呟いた綾瀬は最近、“ロマネスク斉藤(さいとう)”という占い師の誕生日占いにハマっていた。
今月の恋愛運は「行き当たりばったりでいくと何かいいことあるかも」という無責任にもほどがある内容だったが、ここは行き当たりばったりであのカップルたちのあとをついて行って素敵な出逢いに巡り会おうと思いついた。
占いを信じた上での行き当たりばったりであって、決してストーキングではない。
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