※※第３２０話:Make Love(&Sex aid).42

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　「薔さんの話題は、欠かせないようですね……」
　「たまらんですねぇぇ……」
　気持ち悪がれる特権というよくわからないものを話題に出されていても、乙女たちは安定の萌え。

　ぐだぐだしない作戦会議は基本的に開けないようだ。


　「でも先輩……ナナちゃんを監禁しているのなら、薔さん絶対に電話無視しますよ……いっそ乗り込んだりとかする企みですか？」
　「うぅぅむぅぅ……」
　そのうちに、乙女たちは肝心の、最初のお誘いの段階について悩み始めた。
　羚亜も先ほど気に掛けたものの、今はチョコレートパフェのことしかほとんど考えていない。

　「俺にも頑なに会わせようとしなかったし、無理だと思うよ？こけしさん。」
　遠慮なくビールを注文した屡薇は、己の中で監禁疑惑が浮上したときの薔の様子からして、まず取り合ってはくれないだろうと懸念していた。
　懸念していても、生ビールは頼みます。

　「しかし、もう明日に迫っているからな……やはりここは何か、巧い脅し文句を……」
　眼鏡をくいっとやった醐留権先生はまたしても、生徒に対して使えそうな脅し文句を思案し始めた。




　「はぁぁ……こうなったらぁぁ、やむを得ないなぁぁ……」
　溜め息をついたこけしちゃんはふと、スマホ(←ロボットのほう)を取り出した。
　もしや最強の敵である薔(呼び方は各々ので)に電話を掛けるのか!?といった周りの驚愕をよそに、こけしちゃんはぽつりとうっかり口にした。

　「ナナちゃぁんに電話してぇ、薔くぅんを上手く誘惑してもらおうぅ……」

　と。




　「は？」
　醐留権は唖然とし、
　「え？」
　他の参加者たちは度胆を抜かれた。
　屡薇も真依もナナには電話が繋がらないと説明を受けたはずが、どうしてそうなる？としか言い様がない。

　電話……繋がらないんじゃないの(か)……？という視線を、皆こけしちゃんに集中させた。

　「いけないぃ、口滑らせたぁぁ……薔くぅんに電話ぁってことにするべきだったぁぁぁ……」
　口を滑らせたことを公言しつつ、こけしちゃんはもうばればれの状態だったが親友に電話を掛けた。

　(もしかして、監禁疑惑を一番楽しんでいるのって……)
　周りには新たな疑惑が浮上したものの、とりあえずは黙っていた。
　解約されたわけではなかったのかと驚いたゾーラ先生は、彼女の言葉選びの妙に感心すらしている。

　ただ単に圏外とかで繋がらなかったのなら、そういう表現にしてほしかった気がしなくもないけれど。

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