※※第297話:Make Love(&Lust).180







 …ッ…くぷっ…

 「ん…っふっっ、」
 掬い上げるみたいにしてくちびるをさらわれたナナは、甘い心地に呼吸も忘れてしまいそうだった。
 相も変わらず彼は浅いところでゆっくりとだけ動き、子宮までとことん切なくさせる。

 腰を抱いていた手は胸へと滑り上がり、乳首を弄びながら乳房を揉みしだいた。
 やわらかな膨らみに、そっとゆびが食い込み気持ちがいい。

 (あ…っ、イっちゃう…っ、)
 ヴァギナでの動きを少し深くされたナナはイけてしまいそうになり、ぶるりと躰をふるわせた。
 絡ませあう舌まで、微かにふるえて彼へと伸びる。


 ところが、

 「…――――――まだイくなよ…」

 彼女がイキそうなのだとちゃんと悟っていた薔は急に、けっこうな浅いところまで引き抜きくちびるを放してしまった。

 「んっふ…あっっ、」
 寸止めをされてガクンと力が抜けたナナは、ベッドにもたれる。
 拍子で惜しくも、彼はすっかり抜けてしまった。





 ひくんひくんとうねる膣が、留めておきたい体液まで溢れさせる。
 「うっ…ふっ、あ…っ、」
 焦れておかしくなりそうなナナは泣き出してしまい、シーツを掴んだ。
 「顔うずめちゃダメだろ?」
 あたまをよしよしして言い聞かせた薔はわざとらしく、先端を当てて入り口をさする。
 「あっあっ…あっ、あん…っ、」
 入り口をさすられただけでもイけてしまいそうで、力が緩んだナナは顔を上げようとした。
 その隙を捕まえた彼は強引に肩を掴み、彼女を仰向けにさせた。
 やり方は強引でも隅々は丁寧で、あたまは支えながら枕のうえに乗せられる。



 「見せて?泣き顔……」
 両手を掴んだ薔は妖しいけれど優しい笑みを浮かべて、ナナを見下ろした。
 「ん…っ、あ…っ、」
 見せて、と言われると無性に恥ずかしくて、視線を逸らしたくても一度捕まえられてしまうと到底無理だった。
 羞恥を高められたナナは両手を自由にされたあと、脚を開かれ当てがわれる。

 「可愛いな……泣き足りねぇのか?」
 頬にキスをして、少し舌も這わせた薔はスムーズに挿入してきた。

 「俺が抱いてる今のうちに、気が済むまで泣いとけよ?」













 ズッッ――――――…!

 「あっ…っ、あああっ!」
 挿れられるとすぐに、ナナはイけてしまった。
 彼が泣かせているくせに、狡猾な言葉でまだまだ泣かせようとしている。
 独占欲のなかで囚われながら喘ぐことは、至上の悦びだった。


 「あ…っあっはっあっあっ…あっ、あ…やっ、らめ…っ、深…っ、」
 頼もしい腕に抱かれながら、ナナは無我夢中になって嬌声を響かせた。
 「ばか、そんな声で嘘つかれると激しくしたくなる……」
 すでに腰づかいはじゅうぶん激しいのだけど、抱き寄せた薔は少し困ったように吹き掛けてピストンをさらに激しくさせた。

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