※※第297話:Make Love(&Lust).180
ノックの音が聞こえたような気がしたこけしちゃんは、目を覚ました。
隣では眼鏡を外したゾーラ先生が、静かに眠っている。
(えっとぉぉ……薔くぅんが要先生ぇに会いに来たのかなぁぁ?……夜這いぃぃ…?)
寝惚けているが故の腐的精神か、まだ重い目を擦ったこけしちゃんは彼を起こさないようベッドを這い出し、おっとりとドアのほうへ歩いていった。
時間的にもう夜這いではないし、仮に夜這いだったとすればノックはしないと思われるというかそれ以前の問題だな。
こけしちゃんがドアを開けると、そこにはエロ親父こと愛羅が立っていた。
「あれぇぇ?胡桃沢先輩ぃぃ?」
思い描いていたひとと違って面食らったこけしちゃんは、ニコニコと目をぱちくりさせた。
たがしかし薔より遥かに、愛羅のほうが違和感はない場面である。
「悠香ちゃんたらお肌つるつる…!昨日は先生としっぽりできたんだねっ?」
「おかげさまでぇぇ……」
「良かったね?教師のくせにいかがわしい彼氏を持って…!」
「えへへぇぇ……」
どうやら愛羅は自らも協力した羚亜の仕返しの件についてが気になっていたようで、乙女たちは朝から強く手を取りあった。
照れながらこけしちゃんは喜んでいるが、果たして彼氏は褒められているのだろうか。
ちなみに羚亜は寝間着に着替えることは許されず、セーラー服姿で泣く泣く眠らされた。
「それでね、ちょっと悠香ちゃんにお願いしたいことがあるんだけど、」
「何ですかぁぁ?」
いきなりはにかんだ愛羅は俯き加減に、お願いとやらを切り出した。
「縄……余ってたらもらってもいいかな?羚亜くんの寝顔を見てたら縛りたくなっちゃって……」
と。
縄を持ってきている情報も共有していたのか、ここの乙女たちは。
寝る前にしくしくした羚亜は起きてからも、しくしくする羽目になりそうだ。
「いいですよぉぉ?ちょぉっと待っててくださいぃ……」
「ありがとうっ、助かるっ…!」
結局、亀甲縛りをさせてもらえなかったこけしちゃんはぞんぶんに縄が余っていたので、快くバカップルの拘束プレイに貢献することとした。
おっとりに於いてのいそいそで部屋に戻ると、鞄の中から引っ張り出した縄を全部愛羅に手渡そうとした。
ホームセンターでまた購入すれば、亀甲縛りを夢見ることくらいいくらでもできる。
できることなら縛られた羚亜の画像なんぞを見せてもらいたいと考えているこけしちゃんは、縄を手に再びドアへ向かおうとしたとき背後から厳しい声を掛けられた。
「桜葉?何をやっているんだ?」
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