※※第201話:Make Love(&Obscenity).118








 放課後になると、空はだんだんと薄暗い雲を浮かべ始めていた。
 昨日に引き続き、今夜の天気予報は雨となっている。





 「金曜日は晴れてくれるといいですねぇ…」
 「おまえがそこまで考えんな、優しいとこはすげえ可愛いけどな。」
 部室の窓から曇りゆく空を見上げ呟いたナナの隣、薔の機嫌は若干悪くなる。
 さらりと告げられたナナは真っ赤っか。

 「だあ〜っはっはっはっはあ!」
 「あーもう!うるさいな、部長は!」
 部長さんの大笑いが絶好調なため、劇の稽古はまだ始められる状態ではない。
 窓辺で寄り添い空を見上げるナナと薔の姿は、大笑い具合に拍車をかけさせているかもしれない。




 「ああ〜、でも、薔と一緒に見上げてますと、曇り空には曇り空の良さがあるのがよーくわかりますねぇ…」
 「口説いてんのか?」
 しみじみとするナナはだいぶ恥ずかしいことを素直に口にし、彼の返しに再び真っ赤っかとなった。
 曇り空だってまたムードを彩ります、ここは完全なるふたりっきりワールドとなっております。


 「お腹痛くてもうダメだ……」
 「部長が早々に力尽きた……」
 劇の稽古はどうやらそろそろ開始できそうです!















 ――――――――…

 (はぁ〜、挿れときゃ良かった、俺のバカ……)
 リハーサルの休憩中に、パイプ椅子に深く腰掛けた屡薇はぬぼーっとスタジオの照明を見上げていた。
 月曜日の夜、お風呂で素股だけで済ませてしまったのが残念でならないのである。
 次の日彼女は仕事のために控えてはみたが、あの後ベッドではコンドームを着けた上での挿入にまで至ってしまいたかったと目下の苦悩はそれだった。

 (このままだと俺のマグナムが……火ぃ吹いちまいそ……)
 たいそうぬぼーっとしている屡薇は、積極的に脱いだ真依の姿を思い出しマグナムとやらをズキンとさせた。




 「屡薇ってあんなにアホみたいな顔してたか?」
 「してたと思う……」
 メンバーたちはとりあえず、よくわからないが休憩中はそっとしておいてあげようと心に決めた。

 そんな矢先、

 「おい屡薇!ぼーっとすんなら煙草の火を消せ!」

 放っておけないボーカルくんが、厳しく声をかけた。

 「え?何の火を消せって?」
 「煙草だよ、煙草!(灰が)落ちると危ねぇだろ!」
 我に返った屡薇はキョトンと聞き返し、摩闍は憤慨している。
 くれぐれも、マグナムの火ではありませんので。




 「構ってもらいたいんだな…」
 「“落ちると危ねぇ”って……自分のことかな?」
 周りもだんだんと、ぬぼーっとし始める。
 そんなFeaRの皆さんは、リハーサルの後は雑誌のインタビューが待ち受けているのだった。

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