※※第201話:Make Love(&Obscenity).118








 (今週はずっと残業だな……)
 醐留権先生は休み時間、職員室にて若干物憂げな表情となっていた。
 来週の頭からは一学期の中間テストが予定されているため、その作成もあり今週はずっと残業となっているのだ。
 無論、テスト前ということもあり授業の復習に訪れる生徒の相談にも、親身になって乗っている。

 そんなゾーラ先生は、とある野望を抱いていた。

 (テスト期間が終わったら、桜葉に心ゆくまで癒してもらおう……)
 それすなわち彼女のこけしちゃんと、みっちりご褒美デートをすることである!


 彼女のおっとりニコニコとした姿を思い浮かべるだけでこっそり表情は綻び、連日の残業も難なく乗り切れそうな気がしてきた。
 努めてキリリとした醐留権は再び公務に励み始める。
 その姿を惚れ惚れと眺めている横科先生の頭皮に太陽の光が反射して、一部の先生方には鬱陶しいくらいに眩しかった。




 ……ゾーラ先生の誕生日は、5月22日、今週の金曜日となっております。
 もしかしたら醐留権先生は、忙しさとご褒美欲しさのあまり自分の誕生日を忘れているのかもしれません。















 ――――――――…

 「こけしさんは要さんの誕生日プレゼント、何にした?俺まだ迷ってるんだけど…」
 最終授業前の休み時間に、ふと思い立ち羚亜はこけしちゃんへと探りを入れにやってきた。
 じつに、こっそりと。

 「羚亜くぅんだったらぁぁ、自分をプレゼントしてもいいよぉぉ?」
 「えええ!?俺せっかくアルバイトしたのに!」

 ……羚亜よ、まず驚くところはそこではない。


 「アルバイト代は薔くぅんとぉ、衣装代に回してもぉぉ…」
 「何の衣装!?」
 あわよくば三つ巴でも狙っているのか、こけしちゃんはにっこにこと提案し、羚亜はびっくり仰天。
 こけし姉さんの腐的な夢はついに何かしらのイメージプレイにまで及び始めました。







 「……何か今寒気したな、」
 「大丈夫ですか!?またお熱を出しちゃったんですか!?」
 同じ2ー5の教室にてふたりっきりワールド全開となっていたナナと薔は、発熱についてでさらにイチャつき始めた。

 「そういう寒気じゃねぇんだよな…」
 「むむむ、おでこはわたしのほうが熱いですね……」
 真剣な表情で彼の額へと手を当てたナナは首を傾げている。

 「ここのほうがわかり易いかもしんねぇぞ?」
 「そこは恥ずかしいです!」
 公衆の面前で首筋に手を当てることを薔は求めてきたが、ナナは真っ赤っかとなり未だおでこに手を当てていた。



 (おでこもじゅうぶんに恥ずかしい……)
 見ている周りも、ときめきに恥ずかしがっている。





 「こけしさん、ちょっと、真面目に話聞いてよ…」
 「あたしはこれがいちばぁぁん真面目なんだけどぉぉ…」
 寒気の根源であるこちらも、たいそう盛り上がっている様子だ。

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