※※第200話:Make Love(&Tease).117








 「鏡に映っちゃうから余計に恥ずかしいね…」
 屡薇が笑うと、その声は浴室へと湿ったように響いた。
 「わざわざ言わなくていいよ…」
 彼から視線を逸らしている真依は、いちおう、右手で胸元を左手で下半身を、隠している。



 そんな彼女に、生ぬるいシャワーを当てると、

 「だって、声も響くしさ…」

 屡薇は肩へとゆっくり手を這わせてきた。


 「……あ…っ、」
 ふるえた真依の甘い声も、バスルームへと響く。
 シャワーは次第にふたりの肌を濡らして、流れてゆく。

 「真依さん……エロいね、」
 必死になって隠しているところにまた欲情して、シャワーヘッドを下方へと移動させてゆきながら屡薇は彼女のくちびるを奪った。

 「ん…っ、ん……」
 さっそく舌が絡まりだして、シャワーの音すらかき消すようにリップ音を響かせる。
 湯気がふたりの裸体を包み込んでゆく様もまた、扇情的である。

 (あ…っ、当たってる……)
 腹部のあたりに先端がたまに当たってくるため、くすぐったくて恥ずかしくて手で退かそうとした真依は、

 ギュッ――――…

 掴んじゃった。




 (ひぃぃい…!)
 こうなったら耳まで燃え上がりそうだ。

 「あれ?手でしてくれんの?」
 屡薇はくちびるを放すと、ちょっと驚いたように確かめる。
 真依はぶんぶんと首を横に振ろうと試みたのだが、

 「嬉しい……」

 濡れた子犬のような微笑みに、とてもではないができなくなってしまった。



 「……仕方ないなあ、」
 極力不本意を装って、真依は手を上下に動かし始める。

 「……っ、」
 ぶるりとふるえた屡薇は、穏やかなシャワーを彼女の肌へと滑らせる。

 ヌッ…グチュッ――…

 (あ…っ、すごい…っ、)
 手に伝わる硬度に、真依も堪らなく興奮してしまった。


 「もっと強く擦っていいよ…」
 抱きしめながらシャワーを当てる屡薇は、耳もとで息を乱す。
 「ん……」
 真依はその通りに、滑らかにしながらもやや擦る力を強める。
 同時に速度も速めれば、彼の鼓動も速くなった気がしている。


 「すげ……気持ちい……」
 屡薇は言葉の通り、ほんとうに気持ちよさそうに笑った。

 それが嬉しくて、突き動かされる真依は自制を解き、素直になれたようだ。
 深く咬まれるのはお預けとなったが、目標の一つは早くも達成できることであろう。

 「舐めてあげるよ……」
 ちゃんと彼の目を見て告げた真依は、ゆっくりとしゃがんでいった。

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