※※第199話:Make Love(&Sex aid).15








 その部屋は、あきらかに何と言うか、雰囲気が違っていた。

 ふたりぶんの薄手のアウターを薔がハンガーへとかけ、ナナは興味津々といった様子で部屋を見渡す。

 ごくりと息を呑んだ彼女はまず、あの壁際にあるX(エックス)の文字の形をした赤い大きなものはいったい何なのだろうかと、はてなマークを浮かべた。
 ただの飾りとは思えないほどに、それは目立っていたのである。




 「可愛がり方が、ちょっと変わっちまったな?」
 途中の自動販売機でバイブを購入してきた薔は、そら妖しい笑みを浮かべると、

 「俺が脱がしてやる…」

 四隅に拘束具がつけられたベッドのうえへと、ふたりぶんのバッグを無造作に投げた。



 「あの……」
 服に手をかけられ、ナナは上目遣いに彼を見る。
 これから自分がされることが、まだよくわからなくて、ドキドキとより一層胸を高鳴らせる。

 「されたかったから、俺の言いつけを守らなかったんだろ?」
 くすっと笑った薔は艶かしい手つきで、彼女のトップスを脱がして床へと散らせると、

 「お仕置き…」

 乱れた髪を整えるように撫でながら、悪戯っぽく耳もとで囁いた。



 「……あ…っ、」
 ぞくぞくと感じたナナは、思わず躰をふるわす。
 「言葉だけでそんなに感じんなよ…」
 くちびるが触れそうで触れない熱を、耳へと与え、薔は彼女のスカートを脱がし始める。

 「ん……」
 ナナは下着だけの姿にされてゆく。





 服は妖艶な温もりを残して、床へと散り、

 「おいで?」

 これからお仕置きをされるというのに、とてもやさしくナナは手を取られる。

 「は……はい……」
 早くも濡れているため、下着の染みが彼に見られてしまいそうでナナは気が気ではなく、もじもじと一緒にあの“X”があるほうへと向かう。


 よくよく見るとそのX字にも、四隅には拘束具がつけられていた。

 「目隠しするからここで待ってろよ?」
 赤いXの前にナナを立たせると、薔はいったん彼女を放れる。
 ナナは恥ずかしそうに、四隅につけられた枷を確認する。


 「目ぇ閉じな?」
 「あ…っ、」
 確認している途中でいきなり、目隠しをされてしまい、

 ぐいっ…

 腕にはかたほうずつ、枷が嵌められていった。


 「あ……」
 こわいはずのことが、こわくない、すべて快感に変わる。
 目隠しをされていると、手首に触れたゆびさきだけでナナはイけてしまいそうだった。

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