※※第199話:Make Love(&Sex aid).15
アルバイトは途中一時間の休憩を挟み、9時から17時までだった。
日の入りは昨日よりまたほんの少しだけ遅くなったのだろう、空は夕陽に染まり、下ろされた白のロールスクリーンもほんのりと赤に染まっている
「今日はお店大繁盛だったよ〜!登録はしてあるから、またいつでもアルバイトに来てね!何なら制服返しに来たときもまた働いてくれていいよ、薔さま!夜深くん!」
渋めのなかなかイケメン店長さんは、帰り際しつこいくらいにそう言っていた。
呼び方統一してほしいなと、羚亜は思っていた。
制服はただ洗って返せばいいようだが(一日アルバイトでクリーニングは割に合わないため)、返しに来た際にまたアルバイトしたらまた制服返しに来なければならなくなってそれこそ魔の永久運動である。
お給料は手渡しではなかったが、4日後の木曜日、5月21日に振り込まれるため醐留権先生の誕生日にはギリギリ間に合うようだ。
「薔っ!お疲れさまでした!」
「羚亜くん、お疲れさま!」
「お疲れさまぁぁ。」
裏口から店を出て、通りに来ると、カラオケで時間をつぶしていた乙女たちがさっそくお出迎え。
「………………。」
薔は黙ってちょっと不機嫌になると、
グイッ――――…!
「おまえ来い。」
「えっ?あのっ……」
強引にナナの手を引いて、歩き始めた。
やっぱりね……
こけしちゃんの場合はそれ相応に変換していただきたく、だいたい予想はついていた展開に見送るさんにんはしみじみと夕陽を背にしていた。
「これからどこかのカフェでぇ、お茶して帰るぅぅ?」
「いいね!」
「カフェ行きすぎ……」
そしてこけしちゃんと愛羅と羚亜は、どこかのカフェでお茶をしてから帰宅するようである。
「あのっ、薔っ……」
ぐいぐいと手を引かれながら歩き、ナナは彼へと小さく声をかける。
無論、怯えているからではない、胸が高鳴っているからだ。
「いい子にお留守番してろって、言ったよな?」
薔は流れるような視線を送り、彼女へと確かめてくる。
「は、はい……」
掴まれた手が熱くなって、ナナは俯き、
「俺はずっと気が気じゃなかったぞ?」
はっきりと告げた薔は前を向いて、口にした。
「おまえが可愛すぎるから……」
ふわりと吹き抜けていった風に乗せられた言葉に、全身は瞬時に熱くなる。
こうなることを、わかっていた、わかっていたから彼の言いつけを守らなかった自分は何をされても仕方がないと、むしろそれを望んでいる。
無言で歩きながら、逸る気持ちを抑えふたりはとある場所へと向かっていった。
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