※※第199話:Make Love(&Sex aid).15







 ナナは彼氏が運んできてくれたはちみつアップルティーを、思い切り吹き出すところだった。

 「いらっしゃいませ、二名様でよろしいですか?」
 ナナ父とナナ母には爽やかな笑顔で対応し、薔は席へと案内する。


 「あれぇ!?ナナも来てたの!?」
 「お父さんとお母さんは何できたの!?」
 席へと案内される途中、父は娘の存在に気づき驚きの声を上げたのだが、

 「雅之、大人しくしてなさい?ここはカフェよ?」
 「ごめんなさい……」

 妻に厳しく諭され、大人しくあとをついて行った。
 一日アルバイトのことを母にばっちり電話で話してしまったナナは、わけがわからず何だか恥ずかしくてはちみつアップルティーをストローで勢いよく吸い上げた。







 「お父さんとお母さんは、今日はデートですか?」
 テラス席に近い、眺めのよい席へと案内すると、薔は微笑んでふたりへと問いかけた。

 「おっ、おとっ…おとっ……」
 上手く言葉が出てこないナナ父の向かいの席に座って、
 「そうなのよ、たまには雅之にもいい思いをさせてあげないとね。」
 イケメンで自分がいい思いをしに来たナナ母は、微笑んで返す。


 「ハニーぃ…!」
 ナナ父は感動したために、“お父さん”についてを言及するようなことはなかった、むしろ、できないか。

 「素敵ですね。ご注文が決まりましたら、お呼びください。」
 丁寧に言葉にしてから、薔はいったんふたりの席を離れた。





 「ナナ、今日のぶんも含めて写真はどうなっているの?」
 「ハニーは何を頼む?」
 薔のスマートな後ろ姿を見送りながら、母は改めて娘に催促し、父はさっそくメニュー表を開いていた。








 「ナナちゃぁん一家はぁ、売り上げに貢献してるねぇぇ?」
 「ほんとほんと!」
 「恥ずかしいよ、もう……」
 両親とカフェで居合わせることなどまったくと言っていいほどなかったナナは、俯き加減にクラブハウスサンドを頬張った。


 そのうちに、また、

 「OH〜、これハ〜、マサの娘サンの旦那サンではあ〜りマセンカ〜!」
 「あらまあ。」

 式の打ち合わせなどを終えたハリーと葛篭先生も、ナナ母に勧められたカフェへと来店した。

 「……いらっしゃいませ。」
 薔はちょっと面倒くさそうな対応になるが、旦那さんにはまったく悪い気がしていない。




 「ナナにはまだ旦那いないよ!」
 すかさず父はツッコミを入れたものの、
 「おだまり雅之。」
 「はい……」
 妻にぴしゃりと制止された。

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